第58話 策謀をめぐらせる猫たち③
文字数 2,104文字
いやー、まいったにゃねぇ。
偉大で美しくて素晴らしすぎるこのマウティスが、ピンチにゃよ!
ねこねこファイアー組のアジトに潜入中、敵のボスに気づかれたかもしれないにゃ!
ピンチ! ピーンチ!
大ピーンチ!
気のせいにゃ気のせいにゃ!
そんなことより計画をあらいざらいしゃべって、ジロリ組に敗北すればいいのにゃ!
そうだな。空腹は辛いだろう。
あとで川に魚がいるか見てこよう
建設作業の影響で望みは薄いから、あまり期待するなよ
バレるにゃバレるにゃ……!
もしもウチが隠れていると知れたら、いっそ反撃に転じて必殺のパンチをお見舞いしてやるにゃも!
ちなみに、ウチからは下にいる全員の姿が丸わかりだけどにゃ~♪
おれはおまえたちの言う、まとめて袋叩きという案は悪くないと思うぞ
おれだってジロリ組の連中を闇の集会に呼び寄せて、一気に仕留められれば話は早いだろうと思っている
そーですか。
まぁー暗闇で暗躍させたら、おれらに敵う者はいねーですからねぇ
ジロリ組のアホどもに、実力の違いを見せてやりましょーぜ
ぐにゅう……!
せっかくジロリ組の情報を掴んで不意を突くよう提案したのに……!
そう不快がるな、モブニャンよ。猫にとってケガは一大事なのだ
ケンカを仕掛けるなら、確実に勝てる場で挑んだほうがいい
そのためにはジロリ組の連中を闇の集会に呼び寄せ一気に仕留める、それが最も有効なのだ。
わかるな?
我らの手にかかれば〝最強〟と謳われるジロリ組のボスといえども敗北は避けられまい
う~ん……、
ここより食の豊富なジロリ組の猫たちが、そんな手に引っかかるとは思えないわ
メデアの言うとおりだぞ。
アイデアを出すことは悪いことではないのだから、いちいちからかうな
姉弟同士、もっと相手を
敬いなさい
とにかく、ジロリ組の件に関してはイザベラの言うとおりだろう
連中だってバカじゃない。
それに幹部には、頭脳派のインテリやマウティスもいる
にゃは☆
敵に警戒されるほどの知恵者ってことにゃね♪
悪い気分じゃにゃいも
敵の罠が張り巡らされてると知っていながら、愚かにも近づくような真似はしないだろう
そんなに悩まなくても、手立てはいくらでもあるけどにゃ~。
ま、それに気づけるほど有能な猫がいないのがこの組最大の欠点にゃよね。
だからねこねこファイアー組は勢いだけって、他方から揶揄されるのにゃよ。
普通に呼んでも来ないなら、来させるための理由を作ってみたらいいと思うの
ええ、そうよ。
ジロリ組の猫たちは行方知れずの猫を捜しているんでしょう?
だったら、その猫をわたしたちねこねこファイアー組が捕まえていることにしてしまえばいいんじゃないかしら?
なるほど!
ネコ質を取っているとヤツらを騙すわけか
エサはエサでも、
虚言をエサに撒くそのアイデアならいけるかもしれねーっすね
……ふぅん、意外にゃねぇ。
マトモな献策できる猫がいたにゃんて
あの奥さん顔も名前も変だけど、頭の回転はわりとイイようにゃねぇ。
妙案をいともたやすくひねり出すとは、さすがおれの妻だ。
おまえと夫婦になって正解だったよ
さすがだなんてそんな……。
わたしはただ、あなたの役に立てればそれで幸せなの
野良猫社会では早くから父不在が多いから、こんな仲睦まじい状況はめずらしいんだけどにゃあ
さっきから様子を見てやり取りを聞く限り、モブニャンが裏切者であることは確定したにゃね
ウチは梁から身を乗り出していた体をスッと引っ込める。
そもそも妹さがしに行く前にウチがモブニャンとペアになると言ったのも、半分はモブニャンに疑いをいだいていたからなのにゃ
じゃあ、もう半分は何なのかって?
その理由は……言わずと知れたことにゃも。
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