第45話 ワイの勝手なイメージで物語つくったる

文字数 1,720文字







あたしは迷子のミネ。

かわいいって評判のメス猫よ


あちこちさまよってたら、ヘンなオス猫どもに囲まれちゃった



ゲヘヘヘヘ!


かわいいメス猫はイタダキだぜぇ!



きゃ~!

お兄ちゃん、助けてぇ~~~!


このままじゃ襲われちゃう~~~!




 しーん……。



 あたしを守るために颯爽と登場する猫なんて、ひとりも現われない。



はぁ……、

なんだかバカバカしくなってきちゃった


どーせあのヘタレお兄ちゃんが来てくれたところで、相手にボロ負けするのは目に見えてるし



オマエの兄貴はそんなに弱いのかよ?



弱いもなにも、最弱(さいじゃく)よ。

最弱!



最弱かよ!


ヒャーッヒャッヒャッ!

そいつは残念だったな!



残念? 別にいいよ。

お兄ちゃんが頼りなくても、自分の力でどうにかするから



どうにかするだと?

そんなことできるのか~?


こっちにはオス猫がふたりもいるんだぞ~



大丈夫! 

超絶カワイイあたしは、こんなところでやられないもん!


とびっきりの必殺技をみせてあげる!



キラキラ☆アイビーム!








ぐわあぁぁぁぁぁあっ!


まぶしすぎるぅ~!



ふふ、キマッたみたいね。

あたしの瞳の輝きは、太陽光並みにまぶしいの♪


バイバイ、モブさんたち!




 シュタタタタッ!




 あたしは軽やかに地を蹴り、華麗な足さばきでアスファルトを駆けてゆく。



 気づけば動物たちのひしめく、ペットショップの中へ入り込んでいた……。







 ワイの勝手なイメージによる

 ★妹劇場★




     - 完 ー 






どやっ?

自分でいうのもなんやけど、なかなかの脚色やろ?



は、はぁ……


た、たしかに、妹はボクよりもしっかりしていて、性格も結構近かったなって思いました……



さよか!

あんなん想像してたら、ワイは閃いたで!



えっ!?

な、何を閃いたんですか?



妹はきっと、すぐそこのカメの店の中におるんや! 

灯台下暗しってやつに違いあらへん!



カッ、カメの店に……!?



そやっ! 

推理、的中やろっ? 




 ハイなワイとは逆に、インテリ兄さんは冷めたまなざしで首を振る。



あの店ならキンメたちが来る前に調査済みだ。

それとなく店内の情報を探ったが、得るものはなかった



ありゃ、ハズしてもうたか。

残念やなぁ



はっはっはっ。

じつはオレも気にかかってたんだが、すでに調査済みとはなぁ



さすがナンバー2!

やることが早いのであります!



横から失礼しますニャー!


あっしはさっきカメの置物の下に、1円玉が落ちているのを発見しましたニャー!



ホンマか!


って……、

そんなんどうでもええねん。

1円ぽっちじゃ、うまい棒も買えへんやないか



ふにゃあ~!

ごもっともですニャー!



それにしても妹さんはどこ行っちゃったのかしらねぇ



Umm……、

無事だとイイノデスガ



……や、やっぱりオス猫たちに捕まっちゃったのかな……


ミネがひどい目に遭ったら、どうしよう……!


あああああ~っ、ボクがミネとはぐれたばかりに……! 




 新入りは、弱音吐かないと死ぬ病気にでもかかったみたいに、ひとりでブツクサぼやきつづけとる。



そんなん見てると、こっちまで気ぃが沈んでしまいそうや




 ついでに言うと、空は徐々に夕陽に染まって、ちょっと空気も冷たなってきた。



 一方、親分はインテリ兄さんに問いかける。



そもそもインテリ、オメェはなんでこのカメの店に来たんだ?



このカメの店――

いわゆるペットショップでは、店先に迷子の犬や猫の貼り紙が掲示されることがあるからです


もし新入りの妹が人の手によって拾われたのであれば、迷子の張り紙が貼られているのではないかと……



で、妹の貼り紙はあったのか?



いえ、残念ながら




 面目なさげに、兄さんはまぶたを伏せる。



まぁ、ああいうのは限られた人間だけがやることだろうしな。

それならそれで仕方ねぇ


まだ妹がそのへんをさまよっている可能性が失われたわけじゃねぇんだ。

俺はそれに賭けるつもりだぜ



ボス……!




 親分の言葉に、感動で瞳をウルウルさせる新入り。



親分さんの面倒見の良さは、猫社会の壁を突き抜けとるで~




 と、親分を褒め称えた直後のこと。



 それまで佇んでいるだけやった例のメス猫・ヨツバが動き出した。



 そっと生垣の根元に鼻を近づけて、ニオイを嗅ぎはじめる。



あっ――! 

このスプレー臭は……!



なんや、血相変えて



あたし、このニオイ知ってます!



エエエエエッ!?



ホンマかいなっ!?






























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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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