第70話 ボスの決意②
文字数 1,548文字
太陽の隠れちまった時間帯は俺らにとっちゃ都合がいい。
ハンターである野良猫は、夜間の活動に慣れている。他の生き物たちが寝静まったときこそ、狩りにおける最大のチャンスだ。
そんな場所に俺たちが突っ込んだとして――
果たしてみんなが無事でいられるだろうか?
おそらく全員無傷ってわけにはいかねぇよな。
だったら、敵地にのり込む数は少ないほうがいい……
俺は足を止め、後ろを歩む仲間たちのほうに振り返る。
みんなそろって足を止め、俺の一存を不安視するように見つめてくる。
すると、後ろにいたインテリが俺のそばに寄り、密談モードに声をひそめて訴えてきた。
あのふたりは、まだ幼い。
インテリが足手まといと指摘するのも無理はねぇ。
とはいえ合流するまでのあいだに万一のことがあったらと考えると、いささか不安ではある。
自分の耳をピクピク動かしながら、副ボスのテンダはアピールする。
まったくこれから敵地にのり込むってぇのに、無邪気なヤツだぜ。
驚く新入り。その顔に垣間見える、不安。
きっと新入りもわかっているはずだ。戦いに不向きな自分が同行メンバーから外れるってことを――。
すまねぇな、新入り。
俺はオメェやみんなのために、ボスとして決断しなくちゃならねぇんだ……。
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