第42話 謎のニオイを探れ
文字数 1,883文字
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副ボスにフラれて、ミミはご機嫌ナナメ継続中や。
たちまちミミの顔に水を張ったような潤いがみなぎっていく。
不意にヨツバとかいうメス猫が近づいてきた。
ミミは必殺技の勢いで鋭いガンを飛ばし、相手を牽制しにかかる。
そりゃビビるわな。
……というか、なんやこの三角関係は。
結局モテるのはボス猫なんかいな。
てか普通は、メス猫めぐってオス猫同士が競うもんなんやで。
肝心のモテボスはんは、面倒そうに気のないタメ息を
新入り猫は首を引っ込めて縮こまる。
まるでカメや、とツッコみたくなるようなヘタレっぷりや。
ワイが新入り猫に忠告しとると、親分はインテリ兄さんに話しかけた。
インテリ兄さんは、みんなをこの駐車場の脇のほうへ誘導する。
数本の細長い木のそばに、手入れされたモジャモジャな生垣があった。
葉っぱの名前なんぞわからへん。猫からすれば、背ぇが高くて緑の壁みたいや。
せやけど木の枝が雨風をしのいでくれるやろし、地面よりちょっと高いブロック塀に囲まれとるし、姿を隠すにはちょうどええ場所に見える。
ふたりとも得意げな顔や。
こんな場面で役に立たへんワイは、おのずと肩身狭くなる。
親分は、黒い巨体を優雅に動かしながら生垣のそばに寄ってニオイを嗅いだ。
艶やかな黒毛に覆われた端正な顔が夕焼けに照り映える緑を背景にして、ひときわ
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ワイが見とれてると、親分はちょっと真剣な表情になってつぶやいた。
親分とは反対に、新入りの動きは挙動不審そのものや。
恐る恐る草木へ近づき、その根元へ顔を寄せ、落ち着かなさげに鼻の穴をピクピク動かす。
新入りはその顔にあからさまな驚きをさらけ出した。
不安げな胸中丸出しで語りはじめる新入り。
結局、ハナシ引っ張っとるけどな……。
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