第144話 ボス vs ボス②
文字数 999文字
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インテリ、ミミ、ヨウの叫び声が聞こえる。
せめて着地だけは乱れないようにしようと、姿勢を維持するため空中でもがいた。
下の床には無数の砕けたガラスが散らばってやがる。
体をひねって、バランスを取っている最中のこと――
ガンッ!
思いがけず、体が何かにぶつかる。
体の柔らかい猫だから耐えられるが、そうじゃなかったら骨がポッキリいってもおかしくねぇ。
俺はぶつかった弾みで落ちそうになる体を前足でどうにか支えると、目の前にあるものの正体を確かめる。
幸い落下の途中に、細長い鉄骨が1本だけ水平に伸びていたようだ。鉄骨は途中で折れていて、道としては使えないが、支えとしては申し分ない。
この硬い金属棒にぶつかったおかげで、ガラス片地獄への急転直下コースは
けれど、状況は危うい。
体が滑り落ちないように、二本の前足で鉄骨にしがみついている状態だ。
前足を伸ばし、爪を立てるが、相手が金属じゃ刺さるわけもねぇ。
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紅は俺に背を向け、走り出した。
と、呼んで止まってくれるような相手なら苦労はねぇ。
紅は俺を無視してぐんぐん走っていきやがる。
やむなく俺は鉄骨にぶら下がったまま、仲間たちに大声で訴えた。
ところが――
誰からも返事がない。
みんな戦闘中で手一杯なのだろう。
金属板から落ちてしまったので、上の広場で戦う仲間たちの姿を目にすることができないのは困ったモンだ。
俺は漠然と不安を感じながら、仲間の無事を願いつつ鉄骨をよじ登りはじめた。
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