第169話 裏ルート

文字数 1,556文字





ここからは視点を変えて、語り手はマウティスになります



やったにゃー! 

とうとうウチの出番が復活したにゃ♪



ちなみに下ネタ表現がありますので、お食事中の方、下ネタを好まない方などはお気をつけください







 廃工場内でボスたちが闇の集会の歓迎を受けている真っ最中のこと――。



 ウチは様々なイベントを経て、この廃工場に戻ってきたにゃ。



 それからキンメと再会して事実を暴露したり、紅の妻のイザベラに脅しをかけたりしたにゃも。



 策士の手腕が光る仕事にゃね!







 さて、それはさておき――



 いまは知恵より武勇が試されるイベントが発生しているにゃ。



 厄介ゴトを華麗に片づけるべく、廃工場の外にいるんだけどにゃあ……。







 ちなみに廃工場の敷地をまたぐ入り口周辺には、コンクリートが溝になっているところがあるのにゃ。



 いまその細長い窪みには、糞尿まみれのクソが溜まったままになっている――という恐ろしい状態にゃも。



 コンクリートのまわりに砂がたくさんあるせいで、視覚的にはわかりづらいにゃ。



けど、ニオイがすごいから嗅覚でバレバレにゃも


おそらくこれは敵が仕掛けたトラップにゃね



なにをひとりでしゃべっている!




 暗がりから発せられる声。



 例の片づけなきゃならない厄介ゴトにゃも。



 じつはいま、戦闘中なのにゃ。



 敵は紅の妻イザベラの護衛だった偵察猫(レコねこ)にゃ。



 この偵察猫とバトルを繰り広げて敷地を囲う塀をぴょんぴょんしながら戦ってたら、汚臭エリアの近くまで来ちゃったのにゃ。



できればこんな臭い場所には近づきたくなかったんだけどにゃあ


はぁ、臭すぎて戦意が薄れそうにゃ




 戦闘中だけど、ぼやかずにいられないにゃも。



勝敗はまだ決してはおらぬぞ!

拙者(せっしゃ)と勝負しろ!




 偵察猫が威嚇してくる。



 状況を語ると、ふたりの猫が細い塀の上で対峙(たいじ)している状況にゃも。



 そのうち片方は、(さくりゃくか)策略家で知られた偉大なるマウティスにゃ♪

 


言うまでもにゃく、ウチのことにゃよ



な、何を言っている!?



なんでもないにゃ。

それよりそっちは……まぁ、ただの野良猫にゃね



失敬なっ!

ねこねこファイアー組のボス・紅様にお仕えする、偵察猫レコねこであるぞ!



口調はオスっぽくしてるけど、メス猫だってわかるにゃよ



だからなんだというのだ!

拙者はメス猫でも、力でオス猫に引けを取らぬ!



だったらその力を見せてにゃ~。

さっきから物足りにゃいにゃよ~



物足りぬだと!?

拙者の力をみくびるなーーーっ!




 あからさまな挑発だったけれど、都合よく引っかかってくれたにゃ。



 なにせ足場の狭いところでむやみに動くのは得策じゃにゃいも。



 そうとも知らず、偵察猫はウチに向かってジャンピングアタックを仕掛けてくる。



喰らえーっ!








なかなか鋭い攻撃だけど、動きが読めるにゃね




 猪突の勢いで突撃してくるジャンピングアタックを見切って後ろへかわす。



むっ、かわしたか!

しかし運がよかったに相違あるまい。

次は避けられぬぞっ!




 気の強いことを言いながらも、偵察猫の焦りが目に見えるようにゃ。



 さっきからまったく攻撃を当てられてないからにゃ~。



 偵察猫はどうにかしてこのマウティスを仕留めようと、間合いを詰め、躍起(やっき)になって拳を放ってくる。



残念にゃね。

闇雲(やみくも)パンチを喰らうほどウチはトロくないにゃも




 ウチは相手の連撃をサッと跳んで回避し、塀の上にひょいと降り立った。



もう終わりにゃあ?



くっ……! 

さきほどから攻撃を仕掛けているが、まるで歯が立たない……!


これがジロリ組ナンバー2であるマウティスの力か……!



お遊びはそろそろ終わりにゃよ



遊びだと!?



そうにゃ。

こんなのはお遊戯(ゆうぎ)みたいなものにゃ


手加減ナシの偉大なるマウティスの実力を、身をもって味わうがいいにゃ!




























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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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