第158話 白熱の戦い
文字数 1,086文字
怒りで覚醒した俺は、もはや無敵だ。
俺の拳を一発浴びた紅は、苦悶の表情を浮かべている。
しかし、それもほんの一時のこと。
紅は速やかにバックステップすると、闘志むき出しの眼光を向けた。
紅は全身の力を絞り出すかのように気合いを発した。
再び体が激しい闘気の炎につつまれていく。
俺の注意を受け、それぞれ口を
廃工場内が静寂につつまれたのも束の間――
紅が雄叫びをあげながら突進してきた。
まるで動体視力の限界に挑むような爆速だ。
てっきり体当たりでもかましてくるのかと思ったが……
何を思ったか、紅は俺にぶつかる直前でピタリと足を止める。
すると、突然ひらりと身をひるがえす。
気づいたときには、紅のフェイント攻撃が放たれていた。
独特のうねりのあるシッポがヘビのように迫ってくる。
まさに一瞬の出来事だった。
俺の顔面に紅のシッポがかかって、視界を
ドヤる紅。勝ち誇った顔が目に浮かんでくる。
ヤツは俺にケツを向けたままだ。俺の位置から紅の顔は見えねぇ。
だが俺は、自力で自分の視界をクリアにした。
真っ先にそれに気づいたか、キンメが声を発する。
異変を感じたらしく、紅が後ろを向く。
その瞳に映ったものは――
目を見開いて
そう――
紅の目にとび込んだものは、ヤツのシッポを口にくわえた俺の姿だった……。
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