第181話 無謀な捜索
文字数 1,288文字
てくてくてく……。
てくてくてく……。
夜道をウロつく猫がひとり……。
マウティス姐さんの
広大な土地で猫が猫を捜索するのって、
地面に顔がつくほどに近づけ、鼻をクンクンさせてみる。
アイツのニオイはネコの集会のときに嗅いだ。けど、あれからもう何時間も経っている。
すでに記憶はあやふやで、スメルチェックしても当たりかハズレか判断しづらい……。
すると、廃工場の奥にある川のほうから、湿り気を帯びた風が流れてきた。
あっしは湿気を払うようにヒゲをこすって、
断言してみたけれど、本当にそうかどうかはわからない。
でもあっしは、良い香りのことが気になって、そっちへ近づきたくてどうしようもない感じになっている。
新入り vs 良い香り――
デキル猫なら、きっと新入り捜索の任務を重視する場面ニャ。
言うまでもないが、頭の中の
イケナイと自覚しつつも、あっしは早速ニオイのする川のほうへ歩いていた。
てくてく♪
てくてく♪
良い香りにほだされて、歩調までルンルンと
本能に突き動かされるように速足で進んでいくと――
ふと向かいから猫の気配を感じ取る。
暗闇でランランと怪しげな光を発する2つの目玉――!
暗闇から現れたのは、かつてあっしと恋仲だった魅惑の猫・ヤミミンだった。
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