第180話 モブ猫は語る

文字数 1,591文字




モブなのにこんなに出番があるニャんて驚きですニャー!


これはきっと、ジロリ組に関わったおかげですかニャー


でも……、

(あっし)は、そのジロリ組を裏切っちまったんです


いまは後悔でいっぱいですニャー……





 自分の猫ライフを振り返ってみると――



 あっしは、ずっと昔から主役になれない猫でしたニャ。



 なにぶん戦闘力はそこそこで、見た目もそこそこですからニャ。



じつは生まれて間もない頃、人間に見つかったんです


場所は民家の軒下(のきした)でした。

親猫と兄弟猫もいましたニャ




 暗がりに身を(ひそ)めていると、人間がこっちをライトを照らしながら、残念そうにぼやいたんです。



なんだ白猫じゃないんだ……



あっしの体には部分的に模様がありますニャ。

白猫というには半端な存在なんですニャ


そのときは意味わかんなかったですけど、あとになって親から事情を聞かされて萎えましたニャ


柄がちょっと違うだけで人間にはウケない、と――


たしかにあっしを発見した人から、「カワイイ」と言われることはなかったですニャ




 残念な白猫のあっしに比べて、兄弟猫は全身に雪をかぶったみたいに混じりけのない白猫でしたニャ。



 顔立ちもシュッとしてて、シッポもピーンとまっすぐでしたしニャ。



 だからあっしは、長男でありながら弟たちの引き立て役というか、脇役にすぎなかったのですニャ。



こうしてあっしは生まれた頃からモブ猫ポジとなり、ついに人にもらわれることはありませんでしたニャ……





 親離れした後は、ひたすら自活の道の模索でしたニャ。



 食べ物を探して、一時的におなかを満たして、また食べ物を探して……というふうに、エンドレスループのその日暮らしの生活ですニャ。



ある日野道を歩いていると、いきなりオス猫にケンカをふっかけられましたニャー!




 結果はというと……



あっさり負けましたニャー!




 敗者は勝者にヘコヘコしてなければなりませんから、肩身の狭い思いをするのが嫌ならその場から離れるしかありませんニャ。



 あっしはその土地を去りましたニャ。


 

 住み心地の良い場所を求めて転々としていると、また別の猫に遭遇(そうぐう)しましたニャ。



それがニャんとあの(くれない)様ですニャー!


ひと目でズォーーーンと響きましたニャー!


これはもう勝てるわけがないとビビリまくって、早くも降参しましたニャー!




 それに、じつというと打算も働きましたニャ。



 あんな百戦錬磨(ひゃくせんれんま)豪傑(ごうけつ)猫が牛耳(ぎゅうじ)っているエリアなら、いざというとき守ってもらえるかも……



 などという弱者の甘い期待ですニャ。



 あっしは紅様に組に入れてくれとお願いしましたニャ。







 紅様は、縄張りの拡張を考えているから非力な猫は求めてないと言いましたが……



 あっしがしつこく頼みすがって、ついに下っ端として組に入れてもらえることになりましたニャ。



 それからあっしの生活に変化が訪れましたニャ。



 ヤミミンと出逢い、恋仲になったのですニャ。



まるで奇跡のような体験でしたニャ~


あっしのモブライフは、一転してピンクのハート色に染まりましたニャ~








ところが、幸せは長くは続きませんでしたニャ


トウとリャクにいじめられたり、ヤミミンに見放されたりと、それまでの幸福を見事に破壊するような不遇(ふぐう)に見舞われましたニャ








様々なトラブルを経て、あっしはいまマウティスの下僕(げぼく)になっていますニャ




 下僕だとか(しもべ)だとか、あまりいい表現には感じられませんが、仕える相手によっては前向きに受け取れなくもないですニャ。



 少なくとも、マウティス(ねえ)さんは有能ですからニャ。



ただ、キャラに若干問題がありますけど……




 ひとまずあっしは下僕として忠実に働き、ジロリ組の信頼回復に努めることにしますニャ。



こんなモブ猫ですが、応援よろしくお願いしますニャー!




























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登場人物紹介

ボス ♂

野良猫。先代の跡を継いでジロリ町のボスの座についたが、自身は平和主義でもあり自由を求めているのであまり乗り気ではない。非常にケンカが強く、疾風の猫パンチを見切れるものはいないという。

(本名:プルート 通称:ボス、親分、リーダー、カシラなど)

マウティス ♀

ボスファミリーの一員。野良だが先代ボスの子。

「にゃも」など、しゃべり方に独特の趣がある。とてもしたたかな性格で賢いが、食い気には勝てず、好物のニャオ☆チュールを手に入れるためなら平気で他者を利用する。

インテリ ♂

ボスファミリーの一員。飼い主の老夫婦が死亡したことにより野良となる。猫にしては博学で語学も堪能。トリ語も解する。その冴え渡る知能を活かし、組織の交渉役として縄張りの維持に努めてきた。

(本名:あずきちゃん、肉球があずきに似ていることから命名されたが彼は気に入っておらず、しばしば違う名を名乗る)

キンメ ♂

飼い猫。多頭飼育崩壊から生き残り、ボランティアらによって関東在住の住人のもとへ譲渡され、ジロリ町に移住する。当時の名残が残っているせいか、口調は大阪弁。明るいキャラでよくしゃべる。

(本名:なし、名前がなかった。名づけられたのは譲渡先に行ってから。目が金色なのでキンメとなる)

ミミ ♀

飼い猫。耳の形に特徴がある。麗しの三毛猫を自称しているが、発情期に誰も寄ってこなかったという悲しい黒歴史を持つ。ヒカリモノに目がなく、自身の首にもキラキラネックレスを身につけているが、あちこちに引っかけて壊すので飼い主に呆れられている。随時彼氏募集とのこと。

ヨウ ♂

飼い猫&洋猫。飼い主の目を盗んでしばしば脱走する。自慢の毛を維持するためいつも毛づくろいしてばかりいる。海外ブリーダーのもとで育てられたため、日本語がやや片言。生まれたばかりの兄弟が多数いるが、引き合わせてもらえないのであまり仲良くはない。

??? ♂ 

ちょっと汗かきすぎな新入り猫。どうも様子がおかしい……。


ちなみに猫は肉球からしか汗をかかない。顔グラではわかりやすさを重視して強調している。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

モブニャン

ネコの集会に参加する猫たち。集会への参加期間の浅い猫は下っ端になる。モ〇ニャンという某キャットフードに名前が酷似しているが関係性はない。

アイ・キャット

i〇adを所有する謎の猫。その便利グッズで猫に関する豆知識や雑学を解説してくれる。

ストーリー上には登場しない。

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