三題噺のお部屋
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三日連続の残業でくたくたになって帰宅すると、時計の針は既に夜9時を回っていた。
俺が勤めている会社はいわゆるブラック企業というやつなのだろうか? 大学を卒業してすぐに就職した会社だったし、友達と言えるような友達もいなかったからよく分からなかった。ついでに言うと、毎日仕事で疲れているのでわざわざブラック企業の定義みたいなものを調べようと思わなかった。
腹が減っていた。
電子レンジに冷凍ご飯を入れ、500Wで3分。とても自炊する気分ではなかったので、レトルトカレー辛口の封を切り皿に移した。ラップをかけてぼんやりしているとライス部分の解凍が終わったので、辛口カレーを入れ違いでレンジに投入した。
疲れたなあ。
このまま仕事を続けて毎日疲れて帰ってきて、特にやり甲斐もない毎日の繰り返しで年をくっていく。会社の付き合いで飲み会に行ったとしても、別に楽しい訳でもない。何のために働いているんだろう。金のためか。それ以外の理由は思いつかなかった。
ネガティブな思考に沈みつつ、レトルトの温めが終わったようだったので扉を開いた。
ターンテーブルの上にあるはずの深皿が無かった。
「は?」
思わず変な声が出た。
それと被さるようにして、間の抜けた女の声が聞こえた。
sengoku_kei_ji
私は名だたる女神ですから、人の子にこれほどの奇跡を与えることはありませんよ!喜びなさい!
初邂逅から何年も経つが、カレーライスの妖怪は未だに俺のアパートにやってくる。週に五度。
作:千石京二
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