南雲あや

文字数 910文字

学校の階段の下――というものは結構な穴場なもので、陰になっているから何をしていてもわりと見つからない。

だから、私はここに大事なものを隠す。


今日ゲットしたのは、鉛筆

ただの鉛筆だけど、私にとってはただの鉛筆じゃない

2018/04/14 21:34

nakumoaya

貴方、こんなところで何しているの……?
2018/04/14 21:37
はひゃうっ!?!?
2018/04/14 21:38
驚いて振り返ると、そこにいたのは3年の姫野薫先輩

その名の通り、学園のお姫様。

いつも男の人から花束とか指輪とかもらっている。

そういうのはもう日常茶飯事で、それを私はずっと見ていた。

2018/04/14 21:38

nakumoaya

こここここ、これはですねぇ……なんでもないんです~~
2018/04/14 21:40
あははははと作り笑いで乗り切ろうとするも、先輩の視線は私が持っている鉛筆に注がれている。

それは当たり前だ。先輩は、この鉛筆には見覚えがある。

だって、この鉛筆は――

2018/04/14 21:42

nakumoaya

その鉛筆、私のものですよね
2018/04/14 21:43
こんなの、よくある鉛筆ですよ?
2018/04/14 21:45
ううん、それは私が幼少から使っている鉛筆だわ

無くしたかと思っていたけど、まさか貴方が……?

2018/04/14 21:45
ご、ごめんなさいっ!!!

大切なものとは分かっていたんですけど、先輩のもの、欲しくって……見つけた瞬間盗っちゃいました

2018/04/14 21:47
私は先輩に向かって頭を下げた。

いたたまれない視線が突き刺さる気がする。

2018/04/14 21:48

nakumoaya

頭をあげてちょうだい
2018/04/14 21:50
え……
2018/04/14 21:50
いいの、別に鉛筆なんか。

いらないものだけれど捨てるきっかけも見つからなかったし、貴方に貰って欲しいわ

2018/04/14 21:50
わ……ありがとうございますっ!!
2018/04/14 21:51
ふふ、その他のそこにあるモノも全部あげる。

その代わり――

2018/04/14 21:52
私の目をじっと見て、先輩は今までに見たことのない表情で、妖艶に笑う。
2018/04/14 21:53

nakumoaya

貴方が私のモノになってちょうだい
2018/04/14 21:55
ふぇ……? 
2018/04/14 21:56
両手で逃げ場をふさがれ、廊下の壁に押し付けられる。

先輩の顔が目の前に!!!綺麗!!!

あれ……先輩って、こんなに背が高かったっけ、あれれ

2018/04/14 21:56

nakumoaya

かわいい

私ね、ずっと貴方の視線を追っていたのよ。気づいてなかったでしょうけど

2018/04/14 21:58
そ、それは……!恐縮です!!あれ……というと……
2018/04/14 22:00
両想いね、私たち
2018/04/14 22:03
先輩が花が咲いたように笑う。

自然に顔が赤くなっていって、照れ臭くなる。

2018/04/14 22:05

nakumoaya

目、閉じてちょうだいね
2018/04/14 22:06
鈴が鳴るような声でそう言われたら、自然に目を閉じていて。

お互いの唇が重なった。

それから――それから……


階段の下の私たちの秘密。

2018/04/14 22:07

nakumoaya

作者

南雲あや

2018/04/14 22:08

nakumoaya

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