三題噺のお部屋
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文字数 384文字
nakumoaya
猫は、成人したら人間になる。
そういう村で、そういう伝統としてあり、つまりは人間と猫が混濁している。
幼馴染の彼女より一足先に成人を迎えた僕は、今日で人種の違う存在となってしまった。
にゃー……
今まで普通に会話をしていたはずなのに、僕が人間になったから猫が喋っているようにしか聞こえない。何言っているか分からなくなるんだ。そんなことも人間となってから知った。
人間となって、社会に出ていく僕と、ネコとしてのんびり村で暮らす彼女。
もう噛み合わさっていたはずの歯車は噛み合わない。
また、一緒に話そう
はい、というニュアンスの鳴き声。
人種が変わってしまってもまたいつか、という思いだけは同じなのだ。
僕は猫だらけの街を抜けた。二息歩行で。
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