「クソみてぇな世界滅亡」
時は二〇三四年。場所はイギリス。
ロンドンを中心に機械化技術が発展し、世界人口の一〇人に一人が身体を機械にした時代。
ある人は脳以外の全てを機械化し、ある人は右腕と左足を、とある漫画の熱狂的なファンは左手に主人公の武器のレプリカを内蔵したりしていた。
これにより、憧れたフィクションを再現出来ると、世界中のギーク達が熱狂した。
さらに、あらゆる産業をオートメーション化し、あらゆる経済を発展させた。
しかし、発展しすぎた技術は、人々を狂わせる。
世界中で機械化人間による犯罪が激増。
さらにはマフィアといった反社会勢力による、違法な機械化も横行するようになった。
そしてついに、機械化したイスラム原理主義者によるアメリカ・ホワイトハウス襲撃を発端に、機械化人間による戦争が勃発。
戦火は瞬く間に世界中に発展した。
見かねたイギリスは、あらゆる機械に内蔵された破壊プロトコルを実行。それにより機械化人間達は活動不能となり、戦争は終結した。
しかし、その代償にあらゆる機械は機能を停止。急激な文化レベルの低下に人類は対応出来ず、急速に滅亡への一途をたどり始めた。
各国機関は必死に文明再生を試みるも、既に手遅れであった。
やがて一〇年後、世界は滅亡したのだった――と思いきや、そうはならなかった。
何と、世界中のスチームパンクマニアが立ち上がり、世界に蒸気機関の復活を促した。
産業革命の再来である。
スチームパンクマニア達が培った膨大な知識を元に、蒸気機関を最新技術と組み合わせ、これまで以上の発展を見せた。
そして再び一〇年後。
蒸気機関文明は機械化文明を上回る発展を見せた。
夢にまで見たスチームパンクの実現に、マニアは歓喜した。
さらに時は経ち二〇〇年後。
地球の核をも蒸気機関化し、ついには宇宙進出まで果たしたのだった。
「って、夢を見た」
「クソなげぇし、色々めちゃくちゃだし」
「夢くらい好きに見させてくれよ。あぁ~、早くAK○RAみたいな世界になんねぇかな~」
「それは大いに思う。てか、もうすでにAK○RA超えてる気ィすんだけど」
そんな何気ない会話を交わしながら、少年二人は蒸気立ち上る街をバイクで疾走するのだった。