三題噺のお部屋
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羽生誠はニートである。
三年前はパチスロのプロとして生計を立てようとかなり本気で考えていた。
無理だということを理解してからもう二年になるのに、未だに足しげくパチスロ屋に通っている。
好き好んで思考停止しているのだから思考停止だという批判は痛くも痒くもない。
『真モグモグ風林火山2』というパチスロ機で、彼の所持金(小遣い)は今まさに0円になろうとしていた。
最後の1000円札をサンドに突っ込む。
50枚のメダルがじゃらじゃらと出てくる。
1ゲーム回すのに3枚使う。
およそ5秒ごとに60円を失っていく。
大当たりが引ける確率はおよそ1/266である。
1000円で引けるはずもないのだが誠の思考は停止している。
残り9枚。
6枚。
最後の3枚。
オワタ\(^o^)/
羽生誠の背中には羽など生えていないしその性格は誠実さから程遠いところにあった。
彼は自分の名前を呪いながらふらふらと家に帰り、しけた布団の中で歯を食いしばって泣いた。
作 森山智仁
moriyamatomohito
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