珍味の金田
今年も虹ツチノコのシーズンがやってきた。
虹ツチノコを捕まえる為、金田は七虹山へとやってきていた。七虹山は、秋から冬にかけて虹色に輝くことからその名が付けられた山だ。
虹ツチノコは世界四大珍味の一つと知られ、世界中に愛好家がいる。
金田は山に入り、慎重に歩きながら虹ツチノコを探す。
程なくして金田は、虹ツチノコを見つけた。
虹ツチノコは警戒心が薄いため、手で簡単に捕まえられる。
金田は虹ツチノコを四匹捕まえ、山を後にした。
家に帰り金田は、虹ツチノコをまな板の上に一匹載せた。
金田は虹ツチノコに合掌し、一礼すると、出刃包丁を手に取った。
そして、虹ツチノコの首に包丁を当て、力一杯押し込んで、首を落とす。
即座に虹ツチノコの尻尾を掴み持ち上げ、コップを首の下に置いて血を採る。
虹ツチノコの血には滋養強壮作用があるので、しっかりと回収しておく。
ひとしきり血を採り、金田は出刃包丁で虹ツチノコをあっという間に捌いてみせた。
虹ツチノコの身からは、虹色の光があふれている。
これも虹ツチノコの特徴の一つである。
金田はおろした虹ツチノコの身から皮を取り、あらかじめ用意しておいた唐揚げ用のタレが入ったポリ袋に身を入れ、よく揉み込んだ。
ポロ袋から身を取り出し、片栗粉につけ、熱した油が入ったフライパンに次々と投入する。
するとフライパンの油が、虹色に輝きだす。
それから五分して、カラっと揚がった虹ツチノコを取りだした。
これで、虹ツチノコの唐揚げの完成だ。
金田は早速唐揚げを一つかじった。口の中に上品な油の甘さが広がっていく。
身の断面も虹色に輝いている。
金田は冷蔵庫からビールを三本取り出し、唐揚げをつまみにビールを飲み進めた。
唐揚げとビールを平らげた金田は、先ほど採取した血に、スピリタスを混ぜ、一気に飲み干した。
血とは思えない芳醇でフルーティーな香りと甘さで、スピリタスのアルコールの強さを全く感じさせない。
金田は再び合掌、一礼し、そのままベッドに赴き、眠りに就いた。