三題噺のお部屋
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休日の午後。
ビジネスホテル並みに狭い、自分のアパートでコタツに入りながら録画をしたお笑い番組を見ていた。
特に何が面白いという訳ではないけれど、馬鹿なことしている人を見ていると会社で起こった嫌なことも、そこまで気にならなくなるのだ。
mabekobehouryuu
乾いた笑い声を出し、テレビを見続ける。すると「ピンポーン」とチャイムの音が聞こえた。
今日は宅配便も頼んでないし、友達がくる予定もない。
一体誰が来たのだろうと思い、玄関の覗き穴を見た。
玄関の前にいたのは、私の恋人だった。
歩いてここまで来たのだろう、頭には少し雪が積もっている。
私は鍵を外し、扉を開けた。
満面の笑みで彼はそう言った。
外で立ち話をしていたら風邪をひくと思い、私は「まぁ、とりあえず入りなよ」と彼に言った。
私は外から来た彼を気遣い、今ある暖かい飲み物でどちらがいいかを聞いた。
答えは分かっているけど……。
彼は体格が良くて男らしいが、舌はお子様よりなのだ。
コーヒーも飲めなくはないが、砂糖を入れないと苦くて飲めないんだとか……。
私は、そう思った瞬間にクスリと笑った。
もしかすると、私は彼の子供らしさに魅かれたのかもしれない。
初めての誕生日プレゼントは、アクセサリーでも服でなく万華鏡だった。
私はその時見逃さなかった。
彼の手と指には、いたる所に絆創膏が張ってあった。
恐らく、専門店か何かで作ったのだろう。
彼は不器用なりに頑張ったが、それをひけらかしたりしない。
私の心はその時鷲掴みにされた。
おっ! サンキュ!
出来上がったココアを、コタツで丸まっている彼の目の前に置いた。
彼はお礼を言うとふーふーっと息でココアを冷まし、飲んだ。
私はそこまで料理が上手いという訳ではないが、彼は私の出した料理をいつも「旨い!」と言って食べてくれる。
去年の夏、ビーチに行った時のだった。
砂浜にある海の家にお昼ごはんを食べに行った時、彼はホルモンの塩焼き、私は焼きそばを頼んだ。
そして、ごはんを食べている最中。
と、割と大きな声で言われたので、正直びっくりした。
確かに焼き方は多少なりとも違うと思うが、まさかそんなことを言われるとは思いもしなかった。
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