あきよし全一

文字数 1,083文字

琴葉理子と冬の湖 【ペンネーム】あきよし全一
2018/02/21 20:37

zenone

冬の日暮れは早く、日光はオレンジ色に変わりつつある。校庭の時計は、まだ16時を指しているというのに。
2018/02/21 20:38

zenone

七郎さん。図書室へ本を返しに行くのですが、一緒に行きませんか?
2018/02/21 20:39
放課後、僕の彼女――理子さんが声をかけてくれた。
2018/02/21 20:39

zenone

いいね、理子さん。何の本を借りたの?
2018/02/21 20:40
熱帯魚の本です。校外学習で水族館に行くのに、熱帯魚コーナーの見所を旅のしおりに載せようと思いまして。
2018/02/21 20:40
そうなんだ。
2018/02/21 20:41
ねえ、水族館、一緒に回ろうよ。理子さんに解説してもらえたら楽しそうだし!
2018/02/21 20:42
お、お断りします……せっかく旅のしおりを作るんですから、そちらを見てください。
2018/02/21 20:42
しかし僕らが並んで歩きだした途端、クラスメイトの男子が声をかけてきた。
2018/02/21 20:43

zenone

おい、七海! 俺の代わりに掃除やっといてくれよ!
2018/02/21 20:43

zenone

ええ……今から図書館に行くところなんだけど。
2018/02/21 20:44
頼むよ、お願いだからさ!
2018/02/21 20:44

zenone

2018/02/21 20:45

お願い――その言葉を聞いた途端、僕は体が動かなくなってしまった。
その言葉はかつて僕の命を左右する言葉だった。
だから、それを人に言われてしまったら、七海七郎に拒否する余地なんてない……!

2018/02/21 20:45

zenone

わ、わかっ――
2018/02/21 20:47
お断りします!
2018/02/21 20:47
僕がうなずこうとした瞬間、理子さんが割って入った。
2018/02/21 20:47

zenone

七郎さんは私と図書室に行くんです。掃除当番はご自分でなさってください。
2018/02/21 20:48
なんだよ、俺は七海と話してるん・・・…だろ……
2018/02/21 20:48

zenone

男子の言葉は尻すぼみになった。理子さんが、彼の瞳をじっとのぞき込んだからだ。

たまに理子さんは、冬の湖のような、冷たく澄んだ目つきになる。それを正面から受けて、平気な者はいない。

2018/02/21 20:50

zenone

な、なんだよ……別の奴に頼むからいいよ……
2018/02/21 20:51

zenone

結局、男子は立ち去っていった。後には、野良猫のように気の立った理子さんが残った。
2018/02/21 20:52

zenone

七郎さん!
2018/02/21 20:52
は、はいっ!?
2018/02/21 20:53
時計を見てください。今、何時ですか?
2018/02/21 20:53
16時です……
2018/02/21 20:54
それでは今から図書館が閉まる17時30分まで、私と一緒に居てください。
2018/02/21 20:54
はい!
2018/02/21 20:55

帰り道もできるだけ一緒に居てください。

全く。放っておくと、どこかへ行ってしまいそうなんですから――

2018/02/21 20:55

何やら意味ありげな会話が交わされている「琴葉理子シリーズ」は、カクヨムにて連載しております(※カクヨムへのリンクが開きます)。

リンク先は、過去に当コーナーで出題された「妖怪・夜・カレーライス」を用いた三題噺となっております。

どうか、お読みになって評価して頂けますと幸いです。

2018/02/21 20:56

zenone

今回は意味ありげな話でしたが、リンク先は全く関係ない仕上がりとなっております。読者各位におかれましては、深く考えず、そのうち執筆されたらラッキーぐらいの感覚で流してください。
2018/02/21 20:58
それでは、ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
2018/02/21 20:58

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