あきよし全一

文字数 885文字

邪恋は募る 【作】あきよし全一

2018/05/05 20:30

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ママが熱を出した。体温計には38.1度と表示されている。
パパは「俺が看病するからいい! お前らは部屋に入ってくるな!」と、ママの部屋に立てこもってしまった。
2018/05/05 20:31

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けれどパパに任せると、できる以上のことをしようとして失敗する危険性がある。
だから私は「夕飯の材料を買ってくる」と言って家を出た。
2018/05/05 20:31

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もちろん安本さんも一緒だ。

ショッピングモールでネギと梅干しと卵を買う。おかゆを作るには、こんなところだろう。

2018/05/05 20:31

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――カーネーションも買おう。母の日だから。
2018/05/05 20:32

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そう言いだしたのは私だった。
案の定、安本さんは渋い顔をした。
2018/05/05 20:32

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姫奈さん……じゃなかった、お義母さんは受け取らないんじゃないかな。
2018/05/05 20:32

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私は「そんなことないよ」と囁く。
パパってこういうのに気が回らないから、ママは喜ぶんじゃないかな、とか無責任なことを言って。
2018/05/05 20:33

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安本さんはさんざん悩んだ後、花屋さんで
2018/05/05 20:33

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小さなバスケットにカーネーションをまとめた物をください。
2018/05/05 20:33

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と注文し、代金を置いてどこかへ行った。
2018/05/05 20:34

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最近、安本さんの苦悩の質が変わってきた気がする。
ママを慕うが故の苦悩だけでなく、私との関係でも苦悩してくれるようになった。
2018/05/05 20:34

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――私は、それがとても嬉しい。
安本さんの苦しむ顔を、もっともっと見てみたい。
2018/05/05 20:34

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お待たせ!
2018/05/05 20:34

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振り返った私は言葉を失った。
そこにはウサギの着ぐるみを着た安本さんが居たからだ。
手には、さっき買ったカーネーションのバスケットを持っている。
2018/05/05 20:35

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安本じゃないよ! 僕はウサギのお花屋さん。病気の姫奈さんにお花を届けるんだ。
2018/05/05 20:35

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私は無言で安本さんの脛を蹴ると、おかゆの材料が入った袋を抱え直し、家路に就いた。
2018/05/05 20:35

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安本さんとは何者なのか?
義理の母を「姫奈さん」と名前で呼ぶのはなぜなのか?
その経緯は小説投稿サイト「エブリスタ」に投稿してあります。

(※外部サイト「エブリスタ」へのリンクが開きます)

2018/05/05 20:36
内容は先週のお題だった「リベンジ」「ファインダー」「アイデンティティ」の三題噺にもなっております。
ぜひお読み頂いて、少しでも見所があればスターを投げて頂くと、今後の励みになります。
2018/05/05 20:37

それでは、ここまでお読みくださって、ありがとうございました!

2018/05/05 20:38

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