第34話 ミニスカポリス戦士ポピポヨ
文字数 2,318文字
DSP[デビルスペシャルポリス]の宿舎では、鬼一と小太郎が岩法師に阿倍仲麻呂の件を説明していた。
その隣では、虎之助と狂四郎が晩ごはんのトンカツ定食を食べている。
「では、左近が助かるかもしれない、という事ですか?」
岩法師は嬉しそうに聞いている。
「そうだ。安倍さんも付き添って京都まで行ってくれている。だが、芹沢さんとはいえ出来ない事もあるので、期待し過ぎてはいけない」
鬼一は慎重である。
「俺は姉さんに殴られて、気を失ってたから良くわかりまへん」
小太郎は前回の事でスネている。
「小太郎が拙者を、毒殺しようとしたから当然でござる」
平然と、トンカツを食べている虎之助。
「お前らは、いつも殺し合いしてるな」
あきれ顔で狂四郎が言った。
「お前のように、女にうつつを抜かしてる、ド阿呆に言われる筋合いは無いわ!」
小太郎がキレれて言い返す。
「なんだと!この田舎侍が!」
「こらこら、2人とも喧嘩はダメでござるよ」
虎之助が2人をなだめる。
「うるせぇ!Aカップ貧乳娘は黙ってろ!」
ブチンッ!!
狂四郎の台詞にブチ切れた虎之助は、ミニスカポリス戦士ポピポヨに変身して
「貴様ら全員、逮捕して銃殺するでござる!」
と、拳銃を振り回して怒り出した。
「こりゃマズい」
鬼一と岩法師が、慌ててポピポヨを押さえつけるが、なかなかポピポヨの怒りは治まらない。
「お前らも手伝ってくれ!」
岩法師に言われ、小太郎と狂四郎も喧嘩を止めて、ミニスカポリス戦士ポピポヨを止めに入った。
「姉さん暴れるから、パンツが丸見えでっせ」
暴れるポピポヨを止めながら、小太郎が注意すると
「これは見せパンじゃないので、見た奴は、最も残虐な方法でブチ殺してやるでござる!」
ますますポピポヨが怒り出した。
「こら小太郎、よけいな事を言うな!さらに怒り出したじゃないか」
小太郎は、岩法師に怒られてしまった。
「すんまへん。でも見られて嫌やったら、ミニスカート履いて暴れたらダメですやん」
「拙者の家柄は、ミニスカートを履いて暴れるのが、正式な作法でござる!」
「そんな家柄があるか!」
岩法師の怒鳴り声が聞こえる。
DSPの宿舎では、敵も居ないのに修羅場とかすのであった。
「よく来てくれたの」
ライアンとマーゴットーそれにアンドロポプまで集まったので、リンゼイ老師は上機嫌である。
アーナブとマニッシュも体調は万全であり、戦力は完璧であった。
「今度こそ、あの小娘をぶっ殺してやる」
一度、ひどい目にあったアンドロポプは、息巻いている。
「いや、あの娘は俺に殺らせてくれ。危うく毒殺されかけたんだ」
アーナブも、やる気である。
「じゃ、あの小娘は2人に譲るよ。俺は他の転生者を殺る」
「いいのか、ライアン?」
「俺は別に良いよ」
ーー本当は、あの小娘には勝てる気がしないだけなんだけどな。たぶん、リンゼイ老師が倒してくれるだろうしーー
本音は、リンゼイ老師頼みのライアンであった。
「あいつらDSPを襲うつもりだな」
リンゼイ老師たちが集まっているホテルに、完全に気配を消して見張っている者が居た。
処刑鬼隊の別働隊メンバーである穏形鬼であった。
「これは霊気さんに報告せねば」
「面倒くさい奴らやな」
穏形鬼から報告を受けた霊気は、普段あまり使って無い頭脳をフル回転させて対策を練った。
「よっしゃ!とりあえず、今日は阪神競馬場で勝負や。勝って北新地で飲みあかすで」
と、今日も結局、ギャンブルと酒の日々を過ごすのであった。
京都警察病院では、搬送された左近の病室で安倍兄弟が話し合っていた。
「兄さん、左近の件を芹沢さんに頼みたいのですが」
安倍康晴は、兄の安倍賢靖に相談した。
「確かに、左近から阿部仲麻呂を、お祓いすることが出来るのは芹沢さんだけだが、お前も芹沢さんの性格は知っているだろう」
ーー転生前の芹沢鴨は傍若無人であり、あまりにも危険な男であったため、部下である新選組隊士に暗殺された。しかも、土方歳三や沖田総司などの手練が4人がかりで酔い潰れている芹沢を襲い、やっと殺すことが出来たといわれているほどの超危険人物であるーー
「まあ、ある程度のことは噂で聞いているが、それでも芹沢さんにしか出来ないので。今は、俺の術で仮死状態にしているところです」
「まあ、左近とは面識もある事だし、一応、頼んではいるんだが。やってくれるかどうかは、芹沢さんの気分次第だな」
京都DSPの転生者は、鬼神率いる鬼の精鋭と渡り合える猛者がそろっており、渡辺綱を始め芹沢鴨・伊藤一刀斎・念阿弥慈恩等、ひと癖ある者が多く顧問である安倍賢靖でも、そう気安く頼み事は出来ないのである。
岩法師がステーキを奢るという事で、やっとミニスカポリス戦士ポピポヨの機嫌が治り、4人で北区のステーキハウスに来ていた。
「やっぱり和牛は、美味いでんなぁ」
「拙者たちの時代は、牛肉なんか食べれなかったでござる」
みんな上機嫌でステーキを食べている。
「虎之助。お前の気の短さは何とかならんのか?」
ポピポヨの機嫌を見計らって、岩法師が尋ねて来た。
「なにを言ってるでござるか。拙者は気が長くて穏やかな性格でござるよ。巷では、地蔵菩薩と呼ばれてるでござる」
「すんまへん。そのジゾウ何とかさんの事、知りまへんので、バイ菌で例えてくれまへんか」
小太郎は、地蔵菩薩の事を知らないようだ。
「ええっと。それじゃ、拙者は巷ではバイ菌と呼ばれてるでござる」
「へえ、そりゃ凄いでんなぁ、姉さんはバイ菌でっか。そういえば、バイ菌みたいな顔してますわ」
なぜか、小太郎は感心している。
そんな2人を見て
ーー相変わらず、コイツらはバカだなーー
と思う、岩法師と狂四郎であった。
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