第69話 スーパーゼウス人VS虎之助
文字数 2,580文字
「ワシの攻撃を防ぐとは、凄まじい暗黒闘気じゃな」
スーパーゼウス人は、虎之助と対峙していた。
他のDSPのメンバーや鬼たちは、スーパーゼウス人に吹き飛ばされてしまったため、暗黒闘気で防御していた虎之助が、一人でゼウスに立ち向かう事になってしまった。
「とんでもない言いがかりでござる、これは神気でござる」
反論する虎之助。
「いやいや、お嬢ちゃん、そんなドス黒い神気ないから」
両手を広げて、あきれたポーズをとるスーパーゼウス人。
「あるでござる!」
ボコッ!
怒った虎之助が、スーパーゼウス人に右ストレートを打ち込んだ。
「ないわボケッ!」
メキッ!
殴り返すスーパーゼウス人。
「やったな、この髭ジジイ」
虎之助は、自分の刀に気を込める
すると、たちまち刀が漆黒に変化して行く。
「この魔剣『暗黒斬鉄剣』で、ブッタ斬って地獄に落とすでござる」
「ほう、やるな。ならばワシも、この聖剣エクスカリバーで切り捨ててやる」
スーパーゼウス人は、光り輝く剣を取り出した。
「秘技『暗黒地底人』」
虎之助は叫びながら、暗黒斬鉄剣を地面に突き刺した。
すると、地中から続々と地底人が現れ、スーパーゼウス人に襲いかかる。
そして、なぜか地底人の列の中には、地中から這い出て来た小太郎も混ざっていた。
「地底人、この髭ジジイを殺すでござる」
「なんの、エクスカリバーで全員たたき切ってやるわ」
スーパーゼウス人は、片っ端から地底人を切り倒して行くが、次から次へと地底人が地中から出て来る。
「くそっ、きりがない。こいつら、いったい何人いるんじゃ」
さすがのスーパーゼウス人も、少し疲れて来たようである。
「地底人は70億人いるでござる」
「ええっ、そんなに居るんかい!」
スーパーゼウス人は、一人づつ切り倒すことを諦めて、エクスカリバーを鞘に納めた。
ーーこうなったら衝撃波を出して、地底人を一掃した方が早いわいーー
と、ゼウスは思い、大きく息を吸い込むが
「ほう、これは良い剣でんなぁ」
いつの間にか小太郎が、鞘からエクスカリバーを抜き取って眺めている。
「こりゃ、ワシの剣を取るんじゃない、返せクソ餓鬼」
と、スーパーゼウス人に怒られてしまった。
「嫌や、この剣は俺が貰うんや」
小太郎はダダをこねながら、剣を持って走り出した。
「待て、泥棒!」
スーパーゼウス人が制止するも、そのまま小太郎は剣を持って走って行く。
ーー追いつかれてたまるか、クソジジイ。この剣は俺の物や、誰にも渡せへんでえ、このまま走り続けるんや。たぶん『走れメロス』のメロスも、こんな気持ちで走ったんやろなーー
と、小太郎は、間違った感想を思い描きながら走り去って行った。
「くそっ、ワシのエクスカリバーが盗まれてしまったわい。それにしても、うっとおしい地底人め」
剣を盗んでいった小太郎と、地底人の多さにイラついたスーパーゼウス人は
「くらえ『地底人、家に帰れ光線』」
光線を辺りに発射する。
『地底人、家に帰れ光線』を受けた地底人たちは、ゾロゾロと地底に帰って行く。
「ああっ、地底人たちが帰ってしまうでござる」
虎之助が残念がっていると、スーパーゼウス人が、うつむいて疲れたような姿勢をとっていた。
ーーさては、あのスーパーゼウス人っていうのは、パワーが大きい分スタミナが無いみたい。ならば、体力を奪う術を使うでござるーー
「唐沢家忍法『妖怪子泣き爺』」
虎之助が術を唱えると、スーパーゼウス人の背中に、子泣き爺が張り付いた。
「なんじゃ、このジジイは?」
「オギャー、オギャー」
子泣き爺は泣くと、どんどん重くなり、背負っている者の体力を奪って行く。
「ううっ、重い」
スーパーゼウス人は辛そうである。
「ウザい術を使いおって、ならば『子泣き爺、家に帰れ光線』」
スーパーゼウス人は、子泣き爺に向け光線を発射した。
光線を浴びた子泣き爺はスーパーゼウス人の背中から降りて、家に向かって帰って行った。
「拙者の術を、次々と無効にするのはズルいでござる。お主の反則負けでござる!」
連続で術を破られたので、虎之助が怒り出した。
「いや、お嬢ちゃん。この戦いに反則負けとか無いから」
スーパーゼウス人は、あきれたように言った。
「くそう、このジジイ。拙者がAカップだからって、舐めてるでござるな」
虎之助が悔しがっていると、こちらに向かって、後方から疾風の如く駆けて来る者がいる。
「お嬢ちゃん、加勢に来たよーん」
先ほど、スーパーゼウス人に吹っ飛ばされた、武蔵であった。
「武蔵、無事だったでござるか」
「ムッチャ吹っ飛ばされたけど、無事っス」
本人が無事と言うだけあって、特に怪我もしていない様だ。
「武蔵。この舐めたジジイを、殺すでござる」
「イエーイ!僕の二天一流兵法の見せ場じゃん」
嬉しそうに、武蔵がスーパーゼウス人に突撃する。
「スーパーゼウス人パンチ!」
スーパーゼウス人のパンチが武蔵を狙う。
「二天一流『脳天かち割り』」
武蔵の技もスーパーゼウス人に炸裂する。
ドーン!
両者の技がぶつかり合い、武蔵が虎之助の足元まで吹っ飛んで来た。
スーパーゼウス人の方は、まったくのノーダメージのようで、間抜けヅラをして鼻をほじっている。
「大丈夫でござるか」
武蔵を見下ろしながら虎之助が尋ねる。
「全然、平気っス。それよりも奴の技を受けてみて、アイツの強さの秘密が分かったッス」
「ほんとでござるか」
「奴の攻撃からは2種類の生命エネルギーを感じたジャン、たぶん合体技を使ってるッス」
武蔵は虎之助に、スーパーゼウス人の分析結果を伝えるが
「ちょっと、なに言ってるか分からないでござる」
と、虎之助には通じなかった。
「だからっ!アイツは誰かと合体して、パワーアップしてるんッス」
大きな声で武蔵が説明する。
「なるほど、合体でござるか」
虎之助は少し考えてから
「じゃ、拙者たちも合体するでござる」
と、言いながら武蔵の背中に登って、肩車の体制になった。
「合体完了でござる」
虎之助は満足げに笑顔で言った。
「いや、お嬢ちゃん、これって、ただの肩車だから。しかも逆に動きづらくて、パワーダウンしてるッス」
武蔵が突っ込むが
「ゴチャゴチャ言ってないで、このまま突撃するでござる!」
やる気まんまんの虎之助の勢いに押され、しぶしぶスーパーゼウス人に向かって突進して行く武蔵であった。
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