第115話 夜叉との決着
文字数 2,006文字
白鬼の屋敷に潜入した加藤は、警備していた2体の鬼武者を倒すと、白鬼の居場所を探した。
「奴め、何処にいやがる」
中に入ってみると、意外に広い屋敷である。
加藤が屋敷内をうろついていると
カチッ
機械音が聞こえた
「侵入者発見」
と言いながら、チャッピー君タイプのアンドロイドが3体で襲いかかって来た。
ーーまた、警護のロボットか。このタイプのアンドロイドは、京都で見たことがある。確か首を落としても死なない、厄介な奴らだーー
「仕方ない、少し音がするが雷電の術を使うか」
加藤は虎之助の『雷遁の術』より高度で強力な『雷電の術』を使った。
バリバリバリ!
まるで本物の雷が落ちたような電撃で、3体のアンドロイドは煙を出しながら火を吹いて倒れる。
ドサッ、ドサッ!
ーー敵の屋敷で、大きな音を出してしまったな。忍としては失格だーー
加藤が少し後悔していると
さっそく、誰かがやって来る気配を感じた。
すかさず加藤は屋根裏へと移動する。
「これは『雷電の術』であるな。侵入者は飛び加藤か」
白鬼の声である。
「屋根裏などに隠れていないで、出て来たらどうだ、加藤」
ーー白鬼にバレたか。仕方ない、どうせ殺す相手だーー
「白鬼、今日が貴様の命日になる」
と、加藤は屋根裏から姿を現す。
「相変わらず、身の程知らずの男よ」
白鬼は不敵な笑みを浮かべた。
夜叉と武蔵の死闘は続いており、ボルデ本山が魔力で援護していたが、やはり圧倒的な夜叉の力の前では劣勢を強いられていた。
「やはり首がないと不便や」
夜叉は、そう言いながら新たな首を生やし始めた。
「姉さん、あいつ首が生えてきましたで」
驚いた小太郎が、メイド少女戦士マリリンに伝える。
「では、もう一枚、金のラッキーカードを取るでござる」
マリリンは夜叉の首に向かって飛びかかった。
「そう何度も首を斬らせるか」
夜叉も鋭い手刀をマリリンに向けて振り下ろす。
ズバッ!
お互いの手刀が、ぶつかり合う。
「ニョへ〜」
さすがに力負けして、マリリンは吹っ飛ばされてしまった。
「姉さん、大丈夫でっか!」
小太郎が駆け寄った。
「大丈夫じゃ無いでござる。あの鬼神、もの凄い馬鹿力でござる」
かなりダメージがあるようだ。
「それで、金のカードは取れたんでっか?」
「取れなかったので、次は銀のカードを狙うでござる」
「銀のカードって、何でんねん?」
「言い伝えでは、鬼神の心臓にある銀のカードを、ウイスキー会社に送ると、缶コーヒーのロゴが入ったジャンバーが貰えるでござる」
「そりゃ是非とも欲しいでんな。はな、早く取って送りましょうや」
「そうでござるな」
虎之助は立ち上がると、呪文を唱えた。
すると、虎之助の手に漆黒の剣が現れた。
「この暗黒星雲で造られた暗黒魔剣で、鬼神をブッ殺すでござる」
「いい剣でんなぁ。俺もやってみよ」
小太郎も呪文を唱えた。
すると、小太郎の手に白く輝く剣が現れた。
「この天界で造られた聖なる剣で、鬼神をブチ殺しまっせ」
「では、行くでござる」
2人は夜叉に向かって突撃する。
「死ねや、鬼神!」
「なんだ!光の騎士と闇の戦士が同時に襲って来よった」
さすがの夜叉も、光と闇が同時に襲いかかって来るという初めての出来事に戸惑い、とっさに両手で頭部と胸部をガードした。
ズバッズバッ!
防御する夜叉を、お構いなしに小太郎と虎之助がブッタ斬る。
ボトッ
夜叉の両手が斬られて落ちた。
ーーいかん、早く腕を再生せねばーー
急いで腕を修復する夜叉だが、武蔵は一瞬のスキを見逃さなかった。
「二天一流『前方咆哮斬り』」
ボゴッ!
武蔵の必殺の剣が夜叉の胸部に大穴を開けた。
「うグッ」
「暗黒剣法『暗黒一文字斬り』」
ズバッ!
虎之助の暗黒剣が、夜叉の頭部から縦に、真っ二つに斬り下ろす。
「天に召されよ!」
スパッ!
さらに、小太郎が聖なる剣で横から斬りつけた。
「うぐっ」
ドスン!
ついに、夜叉は倒れた。
ーーこやつらを舐めていた。どうやら、ワシも死ぬ時が来たようや。後は頼んだで婿殿ーー
夜叉は死を悟ると、鬼塚に向けて鬼神の魂を飛ばし絶命した。
「やったな、ついに鬼神を倒しおったな」
ボルデ本山が、倒れそうになっている武蔵を支えながら言った。
「やったッスね」
武蔵も鬼神を倒したのは初めてである。
「あったでござる、銀のカードでござる」
夜叉の遺体からカードを取り出して喜ぶ虎之助。
「良かったでんなぁ。あれ、姉さん。裏に、2枚で応募して下さいって書いてありまっせ。もう一枚、銀のカードがいりますわ」
小太郎が銀のカードを手に取りながら説明する。
「ならば、もう一人、鬼神を殺すでござる」
返り血を浴びて、血まみれになった虎之助はニヤリと笑った。
「あの2人は、さっきから何を言ってるんスカ?」
不思議そうに虎之助と小太郎を見る武蔵。
「我輩たちから見た鬼神と、あの2人から見た鬼神は、別物だったみたいであるな」
と、ボルデ本山は意味深に呟いた。
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