第101話 異世界へ転送でござる
文字数 1,993文字
迫って来るチェルノボーグから逃げながら
「待て、逃げるな。戦うんだ!」
ラスプーチンがボルデ本山と鬼塚に怒鳴った。
「そう言う、お前も逃げてるじゃないか」
ボルデ本山が言い返す。
「お前らが逃げるからだろ。俺ひとりじゃ無理だ、みんなで戦おう」
2人を引き止めようと、ラスプーチンは説得するが
「俺ら3人でも無理やで」
鬼塚は初めから、やる気が無い。
「クソっ、せめて舞妓さんが居れば」
と、ラスプーチンは悔しがった。
その時
メキメキ
と音がして、ボルデ本山が持っている壺に、ひびが入った。
「バカな、封印の壺に亀裂が」
パリーン!
大きな音と共に壺が割れて、大量の煙が吹き出した。
「あり得ない。封印の壺が勝手に割れるなんて」
ボルデ本山が不思議がっていると
「やっと出られたどすえ」
煙の中から、まめヤッコが現れた。
「なんと、封印の壺を内側から割ったのか!今まで、どんなに強い魔神でも自力で出ることなど出来なかったのに」
驚くボルデ本山。
「拙者のパワーは1000万ジンバブエ・ドルどすえ」
まめヤッコは、力ずくで壺を破壊したようだ。
「パワーの単位は、あり得ないほど間違っとるが、とにかく凄いパワーだ」
まめヤッコのパワーに驚愕するボルデ本山。
「壺から出られたのか、良かった。さっそくチェルノボーグを倒しに行こう」
と、まめヤッコが壺から出てこれた事を、よろこぶラスプーチンだが
「とりあえず拙者を封印した、あんたはんから殺すどすえ」
まめヤッコは、ボルデ本山の首を締め上げた。
「くっ苦しい、助けてくれ。君じゃなくてチェルノボーグを狙ったんだ」
苦しむボルデ本山。
「命ごいは聞かないどすえ」
さらに強く首を締める、まめヤッコ。
「舞妓さん、そいつの相手をしている場合じゃ無いぞ。チェルノボーグがこっちに向かって来てるんだ」
ラスプーチンが状況を、まめヤッコに説明する。
「大丈夫どすえ、3秒もあれば、この程度の魔人は殺せるどすえ」
まめヤッコはボルデ本山を、殺す気まんまんである。
しかし、まめヤッコの腕を何者かが掴んで
「そいつを殺すのは、止めるんだ舞妓さん」
と、止めに入った。
「邪魔するのは誰どすえ」
まめヤッコが振り向くと、なんと病院に行ったハズのポリヤコフである。
「ポリヤコフ、お前もう大丈夫なんか?」
鬼塚は驚いている。
「病院で輸血してもらったら完全に復活した。もう、大丈夫だ」
確かにポリヤコフは、顔色も良く元気そうである。
「心配かけて、すまなかった。今から闇ガードの真の力を見せてやる」
そう言って、ポリヤコフは両手から膨大なエネルギーを出し辺りを包み込んでいく。
「みんな、今から俺たちに有利な異世界に転送する。そこでチェルノボーグを倒すんだ」
ポリヤコフの言葉と共に、周りの景色が変化していく。
「よし、みんな転送が終わったぞ」
ポリヤコフに言われて周りを見まわしてみると、全員が中世ヨーロッパの様な場合に転送されていた。
「ここはドコだ?」
ラスプーチンが尋ねた。
「ここは、剣と魔法が支配するファンタジー世界だ。みんなの外見もそれらしく変わっているはずだ」
そう言われて、みんなは自分の姿を見てみた。
鬼塚はヨーロッパ調の鎧を着た騎士のようで、ラスプーチンは長い髭を生やして斧を持ったドアーフのようだ。
「なんだ吾輩は変わっとらんぞ」
ボルデ本山は、そのままの魔法使いである。
「拙者も変わって無いでござる」
虎之助は槍を持った女性のエルフではあるのだが、なぜか銀髪で黒い衣装のダークエルフであった。
「むちゃくちゃ変わっとるがな!君さっきまで舞妓やったやん」
鬼塚が突っ込む。
「あれっ、ダークエルフって確か、人間の敵じゃなかっけ」
ラスプーチンが指摘した。
「そうでござった。拙者は、あちら側だったでござる」
と言って、ダークエルフはチェルノボーグの方に歩いて行く。
「あの娘、あっちに付く気みたいだけど良いのか?」
心配して、ボルデ本山が聞いた。
「良いわけ無いだろ」
ポリヤコフは、不機嫌そうに答る。
この世界でのチェルノボーグは、全身が真っ黒で2本の大きな角が生えており、悪魔のような姿をしていた。
「どうやら、拙者は、お主の仲間であった様でござる」
ダークエルフは、チェルノボーグに説明している。
「急にそんな事を言われても困るなぁ」
いかつい容姿のチェルノボーグも、さすがに戸惑っているようだ。
「ごちゃごちゃ言ってないで、拙者はダークエルフなんだから、さっさと仲間にするでござる!」
ダークエルフが怒り出した。
「いや、ダメだろ。君は、さっきまで敵だったし」
チェルノボーグに拒否されてしまった。
「仲間にしないと噛み殺すでござる」
ガブッ!
怒ったダークエルフは、チェルノボーグの足に噛みついた。
「痛てっ!わかったよ、仲間にすりゃ良いんだろ」
という訳で、ダークエルフはチェルノボーグの仲間になった。
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