第50話 アポロンの帰還

文字数 2,279文字

「あれで良かったのかのぉ」
 ぬらりひょんは、大阪鬼連合団(おおさかおにれんごうだんたい)のカンファレンスに飛び入り参加(さんか)した事について、喫茶店(きっさてん)で何者かと話をしていた。
「良いと思いますよ」 
 相手はスーツを着た細長い体型で、顔の大きさに似合(にあ)わない大きな眼鏡(めがね)をかけている、神経質(しんけいしつ)そうな男であった。
「しかし、ワシらは別に住む所に(こま)っておらんのじゃが」
「それは、わかっていますが、相手に信じ()ませる(ため)には、(うそ)でも良いのでコチラの弱みも見せておくのですよ」
「そんなもんかいのぉ」
「でも、貴方(あなた)のおかげで、(われ)われが動きやすくなりました。レムリア様も、お(よろこ)びになっておられますよ」
 スーツの男は満足そうに話しているが、ぬらりひょんには、男の眼鏡(めがね)の奥に小さな人影が見えた。
ーー不気味(ぶきみ)な男じゃ、やはり(かか)わりにならん方が良かったかのうーー


 DSP[デビルスペシャルポリス]の宿舎(しゅくしゃ)では、いつものように()んなで、朝ご飯を食べていた。
「また、この(うす)っぺらトーストかあ」
 毎度(まいど)ながら、小太郎(こたろう)愚痴(ぐち)っていると
文句(もんく)を言わないで食べないとダメだよ、小太郎兄ちゃん」
 少年の左近(さこん)に、注意されてしまった。
「すんまへん、左近さん。しかし、この前の姉さんは(すご)かったでんなあ。アポロンっていう(やつ)は、手も足も出なかったですからね」
拙者(せっしゃ)の強さは、4000年の歴史(れきし)(ほこ)るエジプトのクフ王並(おうなみ)でござる」
 虎之助(とらのすけ)自慢(じまん)げに言ったが、小太郎は少し(こま)った顔をしている。
「すんまへん。そのクフ王っていう人、知りまへんので、40年の歴史(れきし)(ほこ)る『焼そばバゴォーン』に変えてもらえまへんか」
「えっ、ええと。それじゃ、拙者(せっしゃ)の強さは40年の歴史(れきし)(ほこ)る『焼そばバゴォーン』(なみ)でござる」
「へえ、そうでっか、まったく意味が分かりまへんな。まあ、最初から興味(きょうみ)もありまへんけど」
 小太郎は、()()なく言った。
「ところで、小太郎。式神(しきがみ)修行(しゅぎょう)は続けているのか?」
 岩法師(いわほうし)が聞いて来た。
「よくぞ聞いてくれました。ついに猫を出すことに成功(せいこう)したんですよ」
 小太郎は、得意気(とくいげ)である。
「ほう、哺乳類(ほにゅうるい)を出せるようになったか。大進歩(だいしんぽ)だな」
「もっと練習して、セクシーギャルが出せるまで頑張(がんば)りますわ」
 小太郎が自慢話(じまんばなし)をしていると、虎之助も
拙者(せっしゃ)召喚術(しょうかんじゅつ)も、(うで)を上げたでござる」
 と、自分の自慢(じまん)を聞いてもらおうと、会話に入って来た。
ーーコイツの召喚術(しょうかんじゅつ)は、プレアデス星人や太陽系暗黒大魔王(たいようけいあんこくだいまおう)みたいに、非常識(ひじょうしき)(やつ)ばっかりだからな。ここは、話を変えようーー
「そうだ、狂四郎(きょうしろう)仙道(せんどう)修行(しゅぎょう)順調(じゅんちょう)か?」
 岩法師は、話題(わだい)に変えた。
「かなり順調(じゅんちょう)ですよ。姿(すがた)くらましや小型の(りゅう)なら出せる様になりました」
 狂四郎も、真面目(まじめ)に練習しているようである。
拙者(せっしゃ)も、強烈(きょうれつ)(どく)調合(ちょうごう)に成功したでござるぅ」
 虎之助は、どうしても自慢(じまん)がしたい。
「お姉さんは、(すご)いなぁ」
 一人、左近だけが感心(かんしん)してくれている。
「おめえの(どく)(あぶ)ないんだよ」
 冷めた口調で、狂四郎が言った。
「狂四郎のアホ仙道(せんどう)より使えるでござる」
「なんだと、このAカップ(むすめ)!」
 いつもの事であるが、虎之助と狂四郎の喧嘩(けんか)が始まった。
「お(ぬし)は、キングオブ阿呆(あほ)でござる」
「お前こそ、日本有数(にほんゆうすう)のアホ忍者(にんじゃ)のクセに」
「お(ぬし)の方こそ、インターナショナル・グローバル阿呆(あほ)でござる」
(だま)れ、チビ貧乳(ひんにゅう)!」
 ブチッ!
 虎之助がキレた。
 ブチ()れた虎之助は、メイド少女戦士(しょうじょせんし)マリリンに変身(へんしん)して
貴様(きさま)を殺すでござる!」
 と、狂四郎に毒入(どくい)りコーヒーを飲まそうとした。
「まずい!みんな()めろ!!」
 鬼一(きいち)(さけ)び、全員でメイド少女戦士(しょうじょせんし)マリリンを(おさえ)えつける。
「お前ら()んなブチ殺して、猫の(えさ)にしてやる!」
 さらに、メイド少女戦士(しょうじょせんし)マリリンは(あば)れだした。
「落ち着け、虎之助」
 鬼一(きいち)の声が(むな)しく(ひび)く。
 (てき)出現(しゅつげん)していないのに、定期的(ていきてき)修羅場(しゅらば)()宿舎(しゅくしゃ)であった。


 その(ころ)国際電器保安協会(こくさいでんきほうあんきょうかい)ギリシャ本部では
「グリゴリオス局長(きょくちょう)、アポロンが帰って来ました」
 諜報部長(ちょうほうぶちょう)のアレクシオスが、アポロンを()れて局長室(きょくちょうしつ)に入って来た。
「ご苦労(くろう)さま。君が帰って来たという事は、日本の鬼や転生者(てんせいしゃ)全滅(ぜんめつ)させたという事ですね」
 グリゴリオスは、助六寿司(すけろくずし)を食べながら上機嫌(じょうきげん)である。
「いや、一人とんでもなく強い転生者(てんせいしゃ)()たんで、加勢(かせい)(たの)みに来たんだ」
 と、アポロンは答える。
「ななっ、なんと!君より強い者が、日本にいるのか!」
 グリゴリオスは、食べかけた助六寿司(すけろくずし)の、()寿司(ずし)を落としてしまった。
「そうだ。ゼウス様に出陣(しゅつじん)を、お願いしたい」
「あわわっ、ゼウス様の出陣(しゅつじん)ですと」
 グリゴリオスは、いなり寿司(ずし)も落としてしまった。
「そうだ。早くゼウス様に(つた)えてくれ」
「ゼウス様は、お(いそが)しいお方ですから。今は、ええと」
 グリゴリオスは、パソコンでゼウスのスケジュールを調(しら)べている
「ゼウス様は、現在(げんざい)、スマホのマッチングアプリで、ご自分に合う女性を(さが)しておられる」
「そんな、くだらねえ事してんの?ていうか、そんな(こま)かいスケジュールがパソコンで見れるのか」
()がギリシャ本部の科学力(かがくりょく)をもってすれば、ゼウス様の行動(こうどう)など、すべてお見透(みとお)しだ」
 グリゴリオスは得意気(とくいげ)に話す。
「そんなに監視(かんし)されて、ゼウス様は、よく(いや)がらないなぁ」
 アポロンは(あき)れている。
「ゼウス様は、この世で(もっと)寛大(かんだい)御方(おかた)ですからな。だが、マッチングアプリをされている時に連絡(れんらく)したら、人として、あり()ないほど激怒(げきど)されるので、要件(ようけん)は後で(つた)えておく」
全然(ぜんぜん)寛大(かんだい)じゃないやんけ!とにかく、ゼウス様と本部の最強メンバーをよこすように、伝えておいてくれ。俺は、先に日本に(もど)っているから」
了解(りょうかい)した」
 グリゴリオスは快諾(かいだく)した。
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登場人物紹介

唐沢虎之助(からさわとらのすけ)


 自称、最強の忍者。

 なぜか、妹の千代(ちよ)の姿で転生した。

 千代とは違って、バストはAカップである。

左近(さこん)


大阪DSP(デビルスペシャルポリス)のリーダ

武士の生まれでプライドが高い。

正義感が強く真面目である為、虎之助とは相性が合わない。

岩法師(いわほうし)


大阪DSPの転生者。

元僧侶であり法力を使う大男である。

意外と優しい。

小太郎 


大阪DSPの転生者

自称、剣豪である。

武士の出であるが、ときどきプライドが低くなる

虎之助と行動する事が多い。

狂四郎


大阪DSPの転生者

仙道師であり、アホでもある。

不必要にイケメンである。

安倍顧問(あべここもん)


大阪府警のDSPの顧問。

安倍晴明を先祖に持つ、安倍一族の末裔《まつえい》である。

桜田刑事


大阪府警のDSP担当刑事

イケメンが好きである。

女性同士ということで、虎之助の面倒をみる事になるが、あまり気が合わない。

普段は自分の事を「あたい」と呼ぶが、本編では「あたし」と言うように、心がけているらしい。

鬼塚(おにずか)


大阪の鬼のトップであり、大会社の社長でもある。

真冬にセミ取りに行くほどの、強者である。

川島


鬼塚の腹心の部下

鬼族のエリートである。

ワサビ入りの寿司を食べるほどの、強者である。

黒瀬(くろせ)


鬼武者の中でも、トップクラスの戦闘力を持つ鬼。

いつも、虎之助におごらされている。

彼女が欲しいとの願望が強いが、悲しいかな、親しい女性は虎之助のみである。

バビエル


国際電器保安協会アメリカ支部のエージェント

非常に高い戦闘力を持ち、愛国者である。

明るく、誰からも好感の持てるナイスガイ。

ライアン


国際電器保安協会アメリカ支部のエージェント

優秀なエージェントで、相手の戦闘力を見極める能力がある。

マーゴット


国際電器保安協会アメリカ支部のエージェント

ライアンのパートナー

タコ焼きが好きである。

小太郎に付きまとわれて迷惑している。

ラスプーチン


国際電器保安協会ロシア支部の司令官

性格は残虐であり、生贄が大好き。

機械に強く、ハイテクロノジーを使いこなせる。

ジョイマンのファンである。

アンドロポプ


ラスプーチンの部下

凶暴・凶悪な性格の大男。

ハリウッドザコシショウのファンである。

宇宙人オーソン


たまに地球を訪れる宇宙人。

ハリソン・フォード


「スターウォーズ」「インディ・ジョーンズ」「エアフォースワン」「ブレードランナー」等の大作映画に出演した、米国を代表する俳優である。

本編に登場する予定は無い。

レジナルド・スミス


全てが謎の男

英語がペラペラである。

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