第142話 暗黒対決
文字数 2,416文字
「クソっ、お前のせいで玄関を閉められたじゃないか」
加藤は、虎之助に対して怒っている。
「じゃ、また今度、菓子折りを持って出直すでござる」
と言って、虎之助は帰ろうとした。
「いや、帰ったらダメだろ、諦めが早すぎるぞ」
引き止める加藤。
ピンポーン!
今度は、小太郎が玄関のベル押した。
すると、ガチャ、っと扉が開く音がして士会鬼が出て来るなり
「やかましいわ。何度も押すな!」
バキッ!
必殺の右ストレートを、小太郎の顔面に打ち込んだ。
「るへ〜」
勢いよく吹っ飛んで行く小太郎。
「ナイスショット。良く飛んだでござるね」
「そうだな、300ヤードは行ったな」
虎之助と加藤が、飛んで行く小太郎を眺めていると
「ちょっと、2人とも。仲間がヤラれたのに、なに関心してんスか」
と、武蔵に諌められてしまった。
「そうだったでござる。よくも小太郎を、このジジイ、ぶっ殺すでござる」
虎之助は、刀を抜いて士会鬼に斬りかかった。
ガキッ
しかし、士会鬼は、右腕で刀をガードする。
「こんな物でワシは切れんぞ」
どうやら、士会鬼に刀は通用しないようだ。
「刀が駄目なら、拙者のマグナム左フックで死ぬでござる」
バキッ!
虎之助の強烈な左フックが、士会鬼の顔面に直撃するが
「効かぬなぁ」
士会鬼は平然としている。
「あわわっ。このジジイ、化け物でござる」
虎之助は怯えて、後方へと下がって行く。
「僕が殺るッス!喰らえっ!二天一流『脳天唐竹割り』」
今度は、武蔵が二刀流で、士会鬼の頭部を攻撃した。
パリーン
だが、士会鬼を傷付けることは出来ず、武蔵の刀が2本とも折れてしまった。
「そんなヤワな刀では、ワシは切れぬわ。おや、お前も見たことがある顔じゃな」
士会鬼は、武蔵の顔を見つめた。
「この男は、彼女が7人も居る異常者でござる」
虎之助が、武蔵の女性関係を説明をする。
「そんなに居るのか。それで、お嬢ちゃんは、何番目の彼女なんじゃ?」
「拙者は、ビリで7番目のビリギャルでござる」
虎之助は、適当に答えた。
「君は何でもビリじゃな。って、本当はDSPの武蔵と、その仲間じゃろ」
元京都DSPの武蔵は、士会鬼に顔を知られていた。
「武蔵の正体を知ったからには、生かしておけないでござる。死んでもらうでござる」
虎之助は再び刀を構えた。
「いや、別に、僕の正体は知られても良いんスけど」
戸惑っている武蔵をよそに、虎之助は士会鬼に斬りかかる。
「何度もやっても同じじゃ、愚か者め」
士会鬼が両手を組んで印を結ぶと、ドス黒い妖気が辺りを包み込んで行きDSPのメンバーを、闇の結界へ閉じ込めてしまった。
「たわいもない雑魚どもじゃな」
DSPのメンバーを全員、結界に閉じ込めた事を確認し終えた士会鬼が、家に戻ろうとした時
ズバッ!
後ろから何者かに斬りかかれ、右腕を切り落とされた。
「うぐっ、誰じゃ」
振り向くと虎之助であった。
「貴様も結界に閉じ込めたはず。どうやって出てこれた」
「闇の結界など、簡単に出れるでござる」
「なるほど、お前も闇の住人というわけか」
「違うでござる。拙者はビリで不良だけど、光の戦士を目指しているビリギャルでござる」
「言ってる事が全然わからんが、不意打ちとはいえ、ワシの腕を切り落とすとは。貴様、ただ者では無いな」
ーーこのワシの身体を傷つける者など、この数百年間は居なかった。この娘は、いったい何者じゃーー
「この刀が特殊なのでござる」
虎之助は刀を見せて
「拙者の刀は、神戸の製鉄所がNASAと共同で開発した最新の超合金で造られているので、この世に斬れない物は無いでござる」
と説明した。
「近頃は、そんな物があるのか?」
さすがの士会鬼も、そんな刀が有ることは知らなかったようで、驚いている。
「嘘でござる」
しかし、嘘であった。
「とりあえず、お前は死ぬでござる」
今度は、士会鬼の頭部を狙って斬りかかる虎之助。
「死ぬのは、お前じゃ」
士会鬼は、すぐさま切られた右腕を再生すると、虎之助に向けて暗黒闘気を放つ。
ズバッ!
しかし、暗黒闘気は虎之助に効果がなく、士会鬼は頭部を半分切り落とされた。
「ぐっ、何故じゃ。なぜお前は暗黒闘気が効かないんじゃ」
「拙者は光の戦士でござるが、暗黒パワーも使いこなせる暗黒魔人でござる」
「そんな、光の戦士が居るか!」
と、突っ込みながらも、士会鬼の頭部は再生されて来ている。
「実は、居るのでござる。今からお主に、本物の暗黒パワーを見せてやるでござる」
そう言うと、虎之助は呪文を唱えだした。
すると何も無かった空間から、ヒッポイト星人が現れた。
「ヒッポイト星人、このジジイを殺すでござる」
虎之助がヒッポイト星人に指示を出す。
しかし
「私たちヒッポイト星人は紳士なので、人殺しのような野蛮なことはしません」
と、キッパリと断わられた。
ヒッポイト星人は、意外にも紳士であった。
「では、半殺しでも良いでござる」
虎之助は少し妥協した。
「それでも野蛮ですね。我々は高度な文明を持つ紳士なのです、アナタのような原始的な未開人では無いのですよ」
「じゃ、このジジイをブン殴って欲しいでござる」
虎之助は、大幅に妥協して頼んだ。
「しつこいですね。私は、君らのような虫ケラとは身分が違うのです。そんなゲスで下品な行為をする訳ないでしょう、いくらバカな下等生物でもバカな事を言ったら駄目ですよ」
ヒッポイト星人は、完全に虎之助を見下している。
ムカッ!
バカと言われて虎之助が怒りだし
「ムカつくから、先にお前を殺すでござる」
と、ヒッポイト星人の首を締めた。
「ぐわ、苦しい!言い過ぎた、許してくれ」
虎之助に、殺されかけるヒッポイト星人。
「命乞いは聞かないでござる。このまま死ね!」
さらにキツく締め上げる虎之助。
「死ぬ〜」
死にそうになっているヒッポイト星人。
そんな様子を見せられながら
ーーこれの何処が、本物の暗黒パワーなんじゃーー
と、思った士会鬼であった。
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