おまけ20 閲覧やや注意!ダークサイドな戦闘ボツバージョン
文字数 3,651文字
今回のボツが『恋愛話』じゃなくて、本当にごめんなさい。(ノД`)・゜・。
諸事情により時間がなくて、パソコンに打ちこむ必要がないボツネタを引っぱってくるはめになりました。
(´Д`)・゜・。
代わりに紹介するのは、39話『血塗られた戦場~ロジオン対ムスタイン』のボツバージョン。
長いうえにちょっと陰鬱な描写ありってことで、封印していた戦闘シーンになります。
このネタは以前のサイトに投稿したところ、あまり評判がよくなかったような気がします。
そりゃ、そうだよな……(;´Д`)
賛否わかれるだろうな、うん。だからボツなわけだし……。
前回のボツがわりとさわやかなお話ばかり。
だったのに対して、今回は真逆!
一転して、ダークサイドな感じ……?
人によっては不快感があるかもしれません。でも、ボツってことでゆるしてくださいまし……。
☆
旅人──
あてどなく大地をさすらう者。
とどまらず見果てぬ世界を彷徨う夢追い人。
でも、その夢がつい果てそうなとき、
生きる希望を見失いかけたとき、
歩みを止めたくなったとき──
──飢えたように休息の場所を求めるのかもしれない。
たとえそれが、血なまぐさい闘いの果てにしか、存在しなかったとしても──
☆
空間を歪ませた黒装束の男が、無表情をはりつかせて自分を見下ろしていた。
「虫けら退治ならおまかせだろ?自分も虫けら同然な優男クン」
ムスタインと名乗った男は、明らかに挑発するような口ぶりで言った。
屋根の上に寝そべって、いかにもやる気のない青年の代わりに──
死肉を食らう凶悪なコンドルや、鷹などの巨大な猛禽の群れ。臆病な山犬どもに、白銀色の毛並みをした魔力をもつ狼など。
闇から生まれた異形の怪物たちが、ロジオンをとりかこんだ。
「──ほんとにいい性格してる」
ロジオンは一度だけ肩をふるわせると、口許に皮肉気な笑みをたたえた。
「ちょうどよかった。僕も試したかったところなんだ──自分の魔法の威力をね!」
そう吐き捨てると、彼は猛然と敵のど真ん中に突っこんでいった。
片手に剣、もう片方の手にロッドを握りしめ、両脇から襲いかかってくる敵を粉砕し、容赦なくぶちのめしていった。
自暴自棄に陥った彼は──
(──自分の命など、いっそくれてやるッ──!!)
といった悲壮な覚悟を秘めて、闘いに没頭していた。
ロッドを背負うと手近な台を足場にして次々に飛び移り、そうして屋根に上ってから──。
両手で剣を握り勢いにまかせて跳躍し、宙に舞うコンドルを一刀両断に斬りふせた。
すぐさま下に飛びおりると、迫りくる合成獣の攻撃をすれすれのところでかわし。
背後から飛び掛かってきた山犬に一太刀を浴びせると、旋回して群れの攻撃をやり過ごす。
「──そろそろ使わせてもらうよ──」
ロジオンは間合いをとると、険しい表情で呪文の詠唱をはじめた。
そこをすかさず両翼をはためかせた猛禽の爪が、片腕の肉をえぐり取って行き過ぎてゆく。
「──うぅッ──!?」
じくじくと神経を蝕んでいくような痛みに、ロジオンは負けないよう歯をくいしばった。
額に汗が浮き出る。
自分の命に未練がなくなったことで、皮肉にも眠っていた能力が開花しようとしていた。
『フォーチュン・タブレット第四篇・風の魔法円』
【 ──異形の羽をもぎとれ翠風の竜巻! 】
孤独と憎しみによって、留め金が外れた攻撃性はとどまることを知らず──台風の目のように吹き荒れ大地を一掃する。
彼のなかで長い間抑圧してきた破壊への衝動が、一気に呼び覚まされ、黒い血潮が煮えたぎっていた。
ロジオンはそれまで抱えこんできた『怒り』の感情を爆発させたのだ。
魔法力として放出したその威力は凄まじいもので、彼は抑えのきかなくなった癇癪玉のように、矢継ぎ早に呪文を発動させていった。
『フォーチュン・タブレット第一篇・炎の魔法円』
【 ──罪人に刻む赤熱の烙印! 】
少年の前方に爆発が巻き起こり、紅蓮の炎が敵を焼き払い殲滅した。
瞬く間に周囲は静けさで満たされた。
「──やった──のか………?」
やや意識が遠のきかけながらも、かすれた声でうめく。
彼は両肩をいからせて、あえぐように激しく呼吸を整えた。
右腕から血がしたたり落ちた。
呪文の詠唱中に猛禽から受けた傷だった。
その深紅の血痕が、みるみる石畳を汚してゆく──
冷静になってみると辺り一面、赤を通り越してどす黒い血の海だった。
とたんに生臭い死臭が立ちこめ彼の鼻をついた。
大量の怪物が命尽き果て、石畳のうえに累々と屍の山を築いている……。
ロジオンは『怒り』から解き放たれ我に返ると、地獄絵図のような惨劇を目の当たりにして、凝然と立ちつくした。
(………僕はなんていうことを………。たしかに殺らなければ、こっちが殺られていた。しかし………)
相手は人ではない。
怪物とはいえ、これではまるで──
ロジオンははっとしたように、屍の山から目を反らした。
そもそも生命の源を断つという行為にかわりはない。
彼の頭上で黒い天使が舞っている。
それはまるで笑いながら、地獄の門へと手招きしているようだった。
「──おっそろしい優男クンだな。俺のペットたちを根こそぎ退治してくれちゃってまあ」
皮肉気な声に反応して見上げると、黒装束の男が屋根の上からこちらを見下ろしていた。
その口許には得体のしれないうす笑いが、終始刻みつけられでもしたかのように浮かんでいる。
「ま、お気に入りは無事だったから、よしとするかぁ。リューシカ、俺に許可なく噛みついたりしたらお仕置きだぜ………?」
足音もなくロジオンの背後に忍び寄っていた白銀色の狼は、主の命令を受けてすんでのところで獲物に飛び掛かるのを躊躇した。
獣はロジオンを標的にしながら、牙を剥きだしたまま不満そうに喉を鳴らしている。
「──殺さないのか、僕を………。今なら簡単にとどめを刺せるだろう………?」
挑戦的なまなざしで男の顔を見据えると、少年は通常より低い声でささやいた。
──とりあえず、すでに魔法の詠唱は終了している。
(あとは隙をみて放つだけ──)
ロジオンが呪文を唱えようと、息を吸いこんたその時………
「ああ、簡単すぎて笑っちゃうくらいにカタはつくけどな。っていうか、もうついてるだろ?」
「──!?」
まさにまばたきする間ほどのタイミングだった。
目にも止まらぬ速さで現れたムスタインは、ロジオンの眉間に鎌の切っ先を突きつけていた。
「──命はとらないでいてやるよ。俺のきまぐれが許している間だけは、な──」
そう言い残して、彼は狼とともに空間にかき消えた──
屈辱的なまでの敗北感を、ただひたすら少年の脳裏に植え付けて。
☆
以下、書いた当時の『あとがき』から抜粋になります。
パソコンに打ち込んでみたら、戦闘シーンたいしてグロくなかった……。拍子抜け。
汚い字でノートに書き殴ってあった原文を想像すると、もっと荒々しく壮絶な感じがしてたんですが。
文章よりも当時の書き殴った字に、迫力があったにちがいない。なんだかなぁ。
キーボードを打ちながら、すっかり忘れていた没理由をふっと思い出した。
ロジオンの魔力覚醒が、これじゃあなんか『闇落ち』っぽい──。で、わざわざ書き直したという。
☆
というわけで、今のあとがきになります。
なんか暗いうえに読みづらくってすみません!(悲鳴)
ノートに書いてあるのを見たときは、なんかグロいし鬱だと思ってたんですけど。
まあ、そこまででは、ないかな……??
それより気になったのが、セリフがほとんど『厨二病』満載だなということ。
ムスタインのセリフなんかはもう、今じゃこんなノリでは書けなくなってるかもしれません。
レクシーナとの仲を想像以上に深めちゃったからなぁ。この当時より極悪じゃなくなってる気がする。
あと『癒しの魔法円』の使い手だという設定が、明るみになるのが『第二部』にあたるので……。やはり変化が生じるのは仕方ない。
ただ、キャラクターというのも時とともに変遷するもので、それはそれでいいのかなとも思います。
ロジオンのほうも今と比べるとやはり……すさんでますね。
最近は明るすぎるともいえるけど。やはり恋人ができると変わるんでしょうね。
愛の力は偉大だ!うん。
とはいえ、彼は落ちこんでて卑屈なときのほうが、キャラが立つような気がします。それもどうなんだか。
あと、やっぱり戦ってないと光らないのかもしれない。これもバトル小説の主人公のさだめか。
そもそもバトル書くのが年々億劫になっていて……。このあたりも今後の課題だったりします。
はぁ~、課題が山積みだぁぁぁ。
次回はちゃんと『恋愛話』のボツネタになります。
ただ、昨今ちょっと余裕がないので、投稿がいつも以上におそくなるかもしれませんが……。
ロジオンとアナベルの恋話はもちろんですが、探してみたら短いけどラグシードとリームの恋話もありました。
とはいえ、どちらともその……このバトル話以上に稚拙なのでご容赦くださいね。
にしても人ってかんたんに、書いたことを忘れさるものだなあ。
諸事情により時間がなくて、パソコンに打ちこむ必要がないボツネタを引っぱってくるはめになりました。
(´Д`)・゜・。
代わりに紹介するのは、39話『血塗られた戦場~ロジオン対ムスタイン』のボツバージョン。
長いうえにちょっと陰鬱な描写ありってことで、封印していた戦闘シーンになります。
このネタは以前のサイトに投稿したところ、あまり評判がよくなかったような気がします。
そりゃ、そうだよな……(;´Д`)
賛否わかれるだろうな、うん。だからボツなわけだし……。
前回のボツがわりとさわやかなお話ばかり。
だったのに対して、今回は真逆!
一転して、ダークサイドな感じ……?
人によっては不快感があるかもしれません。でも、ボツってことでゆるしてくださいまし……。
☆
旅人──
あてどなく大地をさすらう者。
とどまらず見果てぬ世界を彷徨う夢追い人。
でも、その夢がつい果てそうなとき、
生きる希望を見失いかけたとき、
歩みを止めたくなったとき──
──飢えたように休息の場所を求めるのかもしれない。
たとえそれが、血なまぐさい闘いの果てにしか、存在しなかったとしても──
☆
空間を歪ませた黒装束の男が、無表情をはりつかせて自分を見下ろしていた。
「虫けら退治ならおまかせだろ?自分も虫けら同然な優男クン」
ムスタインと名乗った男は、明らかに挑発するような口ぶりで言った。
屋根の上に寝そべって、いかにもやる気のない青年の代わりに──
死肉を食らう凶悪なコンドルや、鷹などの巨大な猛禽の群れ。臆病な山犬どもに、白銀色の毛並みをした魔力をもつ狼など。
闇から生まれた異形の怪物たちが、ロジオンをとりかこんだ。
「──ほんとにいい性格してる」
ロジオンは一度だけ肩をふるわせると、口許に皮肉気な笑みをたたえた。
「ちょうどよかった。僕も試したかったところなんだ──自分の魔法の威力をね!」
そう吐き捨てると、彼は猛然と敵のど真ん中に突っこんでいった。
片手に剣、もう片方の手にロッドを握りしめ、両脇から襲いかかってくる敵を粉砕し、容赦なくぶちのめしていった。
自暴自棄に陥った彼は──
(──自分の命など、いっそくれてやるッ──!!)
といった悲壮な覚悟を秘めて、闘いに没頭していた。
ロッドを背負うと手近な台を足場にして次々に飛び移り、そうして屋根に上ってから──。
両手で剣を握り勢いにまかせて跳躍し、宙に舞うコンドルを一刀両断に斬りふせた。
すぐさま下に飛びおりると、迫りくる合成獣の攻撃をすれすれのところでかわし。
背後から飛び掛かってきた山犬に一太刀を浴びせると、旋回して群れの攻撃をやり過ごす。
「──そろそろ使わせてもらうよ──」
ロジオンは間合いをとると、険しい表情で呪文の詠唱をはじめた。
そこをすかさず両翼をはためかせた猛禽の爪が、片腕の肉をえぐり取って行き過ぎてゆく。
「──うぅッ──!?」
じくじくと神経を蝕んでいくような痛みに、ロジオンは負けないよう歯をくいしばった。
額に汗が浮き出る。
自分の命に未練がなくなったことで、皮肉にも眠っていた能力が開花しようとしていた。
『フォーチュン・タブレット第四篇・風の魔法円』
【 ──異形の羽をもぎとれ翠風の竜巻! 】
孤独と憎しみによって、留め金が外れた攻撃性はとどまることを知らず──台風の目のように吹き荒れ大地を一掃する。
彼のなかで長い間抑圧してきた破壊への衝動が、一気に呼び覚まされ、黒い血潮が煮えたぎっていた。
ロジオンはそれまで抱えこんできた『怒り』の感情を爆発させたのだ。
魔法力として放出したその威力は凄まじいもので、彼は抑えのきかなくなった癇癪玉のように、矢継ぎ早に呪文を発動させていった。
『フォーチュン・タブレット第一篇・炎の魔法円』
【 ──罪人に刻む赤熱の烙印! 】
少年の前方に爆発が巻き起こり、紅蓮の炎が敵を焼き払い殲滅した。
瞬く間に周囲は静けさで満たされた。
「──やった──のか………?」
やや意識が遠のきかけながらも、かすれた声でうめく。
彼は両肩をいからせて、あえぐように激しく呼吸を整えた。
右腕から血がしたたり落ちた。
呪文の詠唱中に猛禽から受けた傷だった。
その深紅の血痕が、みるみる石畳を汚してゆく──
冷静になってみると辺り一面、赤を通り越してどす黒い血の海だった。
とたんに生臭い死臭が立ちこめ彼の鼻をついた。
大量の怪物が命尽き果て、石畳のうえに累々と屍の山を築いている……。
ロジオンは『怒り』から解き放たれ我に返ると、地獄絵図のような惨劇を目の当たりにして、凝然と立ちつくした。
(………僕はなんていうことを………。たしかに殺らなければ、こっちが殺られていた。しかし………)
相手は人ではない。
怪物とはいえ、これではまるで──
ロジオンははっとしたように、屍の山から目を反らした。
そもそも生命の源を断つという行為にかわりはない。
彼の頭上で黒い天使が舞っている。
それはまるで笑いながら、地獄の門へと手招きしているようだった。
「──おっそろしい優男クンだな。俺のペットたちを根こそぎ退治してくれちゃってまあ」
皮肉気な声に反応して見上げると、黒装束の男が屋根の上からこちらを見下ろしていた。
その口許には得体のしれないうす笑いが、終始刻みつけられでもしたかのように浮かんでいる。
「ま、お気に入りは無事だったから、よしとするかぁ。リューシカ、俺に許可なく噛みついたりしたらお仕置きだぜ………?」
足音もなくロジオンの背後に忍び寄っていた白銀色の狼は、主の命令を受けてすんでのところで獲物に飛び掛かるのを躊躇した。
獣はロジオンを標的にしながら、牙を剥きだしたまま不満そうに喉を鳴らしている。
「──殺さないのか、僕を………。今なら簡単にとどめを刺せるだろう………?」
挑戦的なまなざしで男の顔を見据えると、少年は通常より低い声でささやいた。
──とりあえず、すでに魔法の詠唱は終了している。
(あとは隙をみて放つだけ──)
ロジオンが呪文を唱えようと、息を吸いこんたその時………
「ああ、簡単すぎて笑っちゃうくらいにカタはつくけどな。っていうか、もうついてるだろ?」
「──!?」
まさにまばたきする間ほどのタイミングだった。
目にも止まらぬ速さで現れたムスタインは、ロジオンの眉間に鎌の切っ先を突きつけていた。
「──命はとらないでいてやるよ。俺のきまぐれが許している間だけは、な──」
そう言い残して、彼は狼とともに空間にかき消えた──
屈辱的なまでの敗北感を、ただひたすら少年の脳裏に植え付けて。
☆
以下、書いた当時の『あとがき』から抜粋になります。
パソコンに打ち込んでみたら、戦闘シーンたいしてグロくなかった……。拍子抜け。
汚い字でノートに書き殴ってあった原文を想像すると、もっと荒々しく壮絶な感じがしてたんですが。
文章よりも当時の書き殴った字に、迫力があったにちがいない。なんだかなぁ。
キーボードを打ちながら、すっかり忘れていた没理由をふっと思い出した。
ロジオンの魔力覚醒が、これじゃあなんか『闇落ち』っぽい──。で、わざわざ書き直したという。
☆
というわけで、今のあとがきになります。
なんか暗いうえに読みづらくってすみません!(悲鳴)
ノートに書いてあるのを見たときは、なんかグロいし鬱だと思ってたんですけど。
まあ、そこまででは、ないかな……??
それより気になったのが、セリフがほとんど『厨二病』満載だなということ。
ムスタインのセリフなんかはもう、今じゃこんなノリでは書けなくなってるかもしれません。
レクシーナとの仲を想像以上に深めちゃったからなぁ。この当時より極悪じゃなくなってる気がする。
あと『癒しの魔法円』の使い手だという設定が、明るみになるのが『第二部』にあたるので……。やはり変化が生じるのは仕方ない。
ただ、キャラクターというのも時とともに変遷するもので、それはそれでいいのかなとも思います。
ロジオンのほうも今と比べるとやはり……すさんでますね。
最近は明るすぎるともいえるけど。やはり恋人ができると変わるんでしょうね。
愛の力は偉大だ!うん。
とはいえ、彼は落ちこんでて卑屈なときのほうが、キャラが立つような気がします。それもどうなんだか。
あと、やっぱり戦ってないと光らないのかもしれない。これもバトル小説の主人公のさだめか。
そもそもバトル書くのが年々億劫になっていて……。このあたりも今後の課題だったりします。
はぁ~、課題が山積みだぁぁぁ。
次回はちゃんと『恋愛話』のボツネタになります。
ただ、昨今ちょっと余裕がないので、投稿がいつも以上におそくなるかもしれませんが……。
ロジオンとアナベルの恋話はもちろんですが、探してみたら短いけどラグシードとリームの恋話もありました。
とはいえ、どちらともその……このバトル話以上に稚拙なのでご容赦くださいね。
にしても人ってかんたんに、書いたことを忘れさるものだなあ。