第158話

文字数 591文字

 実家にいる。家族がおおぜいいる。
 テレビのホームドラマを演じさせられているらしい。
 母と祖母以外は偽もの。

 私は何かというとすぐシュミーズ姿になってしまう娘で、それも色っぽいのではなく、頭が少し足りないという役どころ。
 ふと見ると、庭に知らない小柄な白人の男の人がいて驚く。
 彼の視線をたどると、黒いテリアが入りこんできて遊んでいる。彼はその子をつかまえて帰りたいらしい。感慨深げに、
 もう長くないのに、
 などとつぶやいている。

 その男性がぶじに黒犬を抱きかかえると、犬のほうも喜んで甘える。
 ただし、もう犬ではなくなっていて、顔がイタチのように小さい。

 私が部屋に戻ると、

 白衣の女性カウンセラーがにやにやしながらA4のボードにとめた紙にメモを取っている。なんとも不愉快。
 うまく書けました? と私、皮肉を言ってやる。
 私のこと、優先順位がつけられない人間だと。家族だんらんをほったらかして犬を見に行ってしまう人間だと。書けました?
 だって、と私は言いはる。犬だけじゃなく、人も入ってきていたんですよ。
 それを通報せずにぶじに出ていってもらったんです。感謝されてもいいんじゃないでしょうか?

 白衣の女性は答えず、薄ら笑いを浮かべてメモパッドを閉じる。
 むしゃくしゃして私、服を脱ぎだしてシュミーズ姿になる。なっちゃいけませんか。誰にも迷惑かけてないでしょう?

 ここで目が覚めた。

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