第155話

文字数 909文字

 また《レーゲンスブルク》にいる。

 寮を兼ねた校舎が増築されて、三棟も建っている。上は七階以上だろうか。
 それぞれエレベーターもついて、おたがい行き来できるようにもなっている。
 私はそのどこかの部屋に泊まらせてもらっている。

 三棟とも一階にはロビーがあり、それをはさむように両側に部屋があって、各部屋に数脚の机と椅子と、アップライトピアノが一台置いてある。好きなように本を読んだり、ピアノを弾いたりしていいのだ。
 ピアノを弾きたいと思うけれど、ここで弾いたらうるさいと思いなおし、やめる。

 ふつうはピアノの練習室は閉めきれることを思い出して、へんだな、と、うっすら思う。でもそれ以上気にせずに歩いていく。
 窓がなく、または厚いカーテンに覆われていて、昼か夜かわからない。私自身は夜中だと思って、そっと歩いている。

 一つの部屋で女の子たちがおしゃべりしていて、以前のクラスメートたちらしい。
 私は気づかれないように通りすぎようとする。ちょっと夜中に起きてしまったんですよというふうをよそおう。このとき気づくのだけど、私はパジャマ(上がロングシャツのタイプ)を着ているので、その嘘にはちょうどよい。さりげなくあくびをしたりして、石の階段を上っていこうとする。
 階段の手すりも石。

 ところが、そのあくびがさりげなさすぎて、

 女の子たちに気づかれてしまい、一人が駆けよってきて私をハグする。しまったと思うけれど、もう遅い。
 いちばん親切にしてくれた子で、名前はたしか、モニカ。

 モニカちゃんはなつかしげに、いまどうしてる? 私、ケイオーを休学してこちらに来てるの、と言う。
 慶応? なんだかへん。それに日本語で話している。
 よく見ると、モニカちゃんではない。

 そもそも、モニカなどという友だちはいない。

 私が着ているパジャマはベージュで、こんなパジャマを私は持っていない。
 父が入院している新百合ヶ丘総合病院の手術着だと気づく。

 アップライトピアノは、どれも自由に弾いていいのだけど、一台だけ大ホールにグランドピアノがあって、それは別。
 ホールにも鍵がかかっているので、通りすぎる。


※全文、ほぼ起きてすぐ書いたメモのままです。

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