第50話

文字数 330文字

 昨夜、また長いへんてこな夢。
 ひろびろした白いタイル張りの空間に女性ばかりいる。ここは女湯?
 
 中に一人、浅黒く目の大きな、東南アジア風の若い子がいて、片言で何やら苦労話を語り、みな感心して彼女の売る服をどんどん買うのだけど、ということは、ここはバザール?
 
 ひととおり売れたところで彼女、いきなり
「いまのは嘘」
 と告白を始めて、
 
 けれどもなんだかすべてが気の毒で、怒る気になれない。
 
 彼女が体を半分よじってふりむき、すまなそうに目を伏せ、そのあとはむしろちょっと傲然とあごを上げて、開きなおって歩いていくようすが、不幸な人特有というのか、いっそすがすがしくさえある。
 
 民族衣装なのか、オレンジ、黄、赤、紫などの、吹き流しのような布が、頭上にはためく。

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