第63話

文字数 300文字

 どういうシチュエーションだかぜんぜんわからないのだけど、ある菓子職人(パティシエ)の夢。
 
 シュークリームでなく、クリームをお皿に盛った上にシューを乗せるお菓子を創って、彼の名が付けられる。
 そのお菓子と、同じ彼の作ったふつうのシュークリームと、両方も試食して、どっちもおいしいと絶賛している人たちの中に、私はいる。
 クリームの色が少し濃くて、キャラメルなのかもしれない。
 
 ただ、背景がへんなのだ。
 古い長屋が土手に身を寄せるように並ぶ、その薄暗い一角の土間に、近所じゅうの人がはだしで集まって、うごうご(うごめ)いているような。
 
 そして、かんじんのパティシエが誰なのか、けっきょく最後までわからない。

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