第54話

文字数 351文字

 前回の雨の夜の夢とどうつながるのかわからないけれど、畑で、ゆで玉子を作っている。
 この地方の名産だという。
 
 片手にいっぱいほどの大きな卵にわらを巻き、藍の色を表面に染みこませてあるから、そのわらを外して殻をむくと、柔らかく薄青いつるつるの卵が出てくる。
 でも殻をむくとき白身まではがしてしまいそうになり、私、こまって、途中で置く。
 
 ビニールハウスの屋根の下、私も首に日よけの垂れた農作業用の帽子をかぶって、殻をむいては卵を並べているのだけど、
 これを畑でする意味あるのかな?
 と気づきかけ、それは、気づいてはならないことだったらしくて、気づいてしまったらもう作業を続ける気にはなれず、とほうにくれる。
 
 足もとの畝にはあおあおと苗が葉をのばしている。何の苗なのだろう。
 そして、何の卵なのだろう。

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