第5話

文字数 412文字

 今朝の夢の最後。
 海辺のレストランで働いている。西田敏行さんに似たシェフが、神業のような箸さばきで何か盛りつけている。
 私はうろうろと食器を運んだり、なんやかや。

 店の裏の、せまいけれど明るい空間にも、食卓がわりの台が出してあって、みんなでまかないを食べていいらしい。
 楽しい時間が始まろうとしている。

 ところが、ふと打ち寄せた波が、ありえない高さと強さで、

 気がついたら私ひとり、海に浮かんでいる。

 あっけにとられて、それから助けを呼ぶ。けれども、叫ぶはじから自分の声が、見渡すかぎりの海水に吸われていってしまうのを感じる。
 みんなどうしただろう。私といっしょに波にさらわれたのだろうか。それともみんなは無事で、私ひとりが海に浮いているのか。

 ふいに俯瞰になって、
 ただよっている私の姿が、おもちゃのようにはるか下に見える。


※文中の西田敏行さんはもちろん私の夢の中の西田敏行さんで、現実の西田敏行さんとは関係ありません。

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