第35話

文字数 537文字

 その続き。古い駅舎のような建物。ごった返している。
 
 駅の中で、浴槽に若い女の子がふたり入っていて、私を見ると親切に場所をあけてくれ、すぐ隣の、もっと深い浴槽に移って寝そべる。
 たのしそうにしている。
 
 私、気もそぞろに、荷造りしなくちゃと思って立ち上がり、
 
 いつのまにかバスローブを着ていて、せまい待ち合い室のような場所。
 L字型(曲がりかたがLと逆、手前で左に折れる)の黒っぽい木のベンチに、今度は男子たちばかりと座っている。
 
 一人、品のよい老紳士がいて、みんなの恩師らしい。
 私は老紳士の顔をじっくり眺めると、はっきり見おぼえがあるのに誰だかわからなかった(いまもわからない)。
 
 男の子の一人(誰)が遠慮がちに、少しつめてくれませんか、と言うので、私、あわてて座りなおす。
 と、ふいにみんな立って出ていき、その話しかけてきた子ともう一人だけが残り、なにか気軽な感じでふりむき、他人の風呂敷包みを面白がってほどこうとするので、
 
 それヤマグチさんのだから! と私が止めるのに、ほどいてしまう。
 
 薄紫の不織布の中からきっちり並べられたクレヨンが出てくる。 
 ちょっとほっとする。
 それにしてもすごく重いクレヨン。
 
 ここまで書いているあいだに、このあとを忘れた。

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