第138話
文字数 210文字
またいつかのお屋敷に住んでいる。白壁に黒い瓦で、秋らしく庭木が色づいて美しい。あの赤いのはナナカマドだろうか。
ただし私たちの仕事は、台所のごみ出しらしい。
「いいかげん、おれに惚れてるって認めなよ」
と、私が彼に、あるいは彼が私に言っている。
誰。
恋ではない。私も男だ。のちに名コンビとして知られる私たちの、若き日を再現しているらしい。が、伝記なのか映画の台本なのかわからない。
台所の裏手だから、水が細く流れている。
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