第82話

文字数 342文字

 長い長い夢の一部。
 実家に泊まっている。
 私、いつもの着古したパジャマ(白いちぢみ地に紺で小さな犬の模様)を脱いでたたんで、ベッドに置こうとすると、ベッドの上に、母が新しいパジャマを縫って置いておいてくれている。

 それが、とても素敵なパジャマなのだ。さらりとしたサテンふうの白地に、水色やアーモンド色の縦縞。
 これを着たいから、そのために、もう一晩泊まろうと思う。
 そのためだけに。
 あと幾晩泊まれるか計算する。

 母は何も言わない。
 母自身のパジャマは柔らかい薄紅色で、母らしい。
 昨日ネットで見ていたカーネーション染めの色だ。ピンクとオレンジの中間くらい。母の日に、スカーフを贈ろうと思って。

 けっきょく贈っていない。

 わかりにくいと思うけれど、これ、ものすごく哀しい夢なのです。

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