第30話

文字数 525文字

 広い、とても広い、マンションの何階かに住んでいる夢。
 
 私、洗濯物をたたんでいて、わっと声をあげる、白いシャツにカレー粉をこぼしてしまったのだ。
 はらおうとしてあわててベランダへ出ると、後ろから、
「ベランダで『ぱたぱた』しないで」
という母の声が追いかけてくる。
 前はしてもよかったんだけど、もうしないで。
 
 ベランダというのが、屋上くらい広い。四辺の三方にそれぞれ部屋があるのだけれど、中でキャッチボールができるくらい広いのだ。
 ここでだめなら私、どこで「ぱたぱた」すればいいのだろう。
 
 はきだし窓から入って部屋に戻る。私はいまから働きに出なきゃいけないんだから、と母をなじる。
 母は黙ってうなだれる。
 ちょっと卑怯だったかなと反省する。
 
 けれどもじっさい、玄関を出て階段を下ろうとすると、
 
 ラッシュアワーで、
 階段にまでぎっしりと人が並んでいてぞっとする。
 この階段の先はプラットホームに通じている。
 ふりかえって、
 
 桜の園、というけれど、思い出の中では、桜が四五本、いや二三本あればいいのです、と力説する。それだけで記憶の中ではいちめんの桜が咲き誇るのです、と。


※最後の一段落、本当に意味不明だけど、ほぼ起きてすぐ書いたメモのままです。

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