第23話

文字数 668文字

 後半の映画のほうは、
 荒くれ者たちが主人公のコメディ映画を、
 DVDをデッキに入れるのだから私は、観ているのだけど、物語が始まるとその中にいて、しかも撮っている最中。

 本編と付属編とがあって、
 まず本編は、主人公たちが白人の子だくさんのファミリーで末っ子はとっても可愛い男の子なのだけど、その子が一家の友人のふりをした悪者に波止場まで連れていかれ、そこでそいつの相棒に殺されそうになる。
 ところが子どもはその悪だくみを見抜いていて、知らんふりしてついていき、いざ悪者たちに海へ突き落とされるとけんめいに泳ぐのだ。

 それを見て二人の悪者は後悔し反省し、
「あの小さいやつがおれの胸に飛びこんできたのを見たか? それをおれは……!」
とか言って号泣して、いきなり改心して一家を助ける。

 付属編は、
「ハロウィンの話だけど、皆さんがご存知のハロウィンを期待すると裏切られるから、見ないほうがいい」
と真澄さんが付箋をつけていて、よけい見たくなってDVDをデッキに入れる。
 するとさっきの末っ子ちゃんが主人公で、

 スピンオフのはずなのに、深刻な社会派映画ふうに始まる。
 火事の後のような焼け焦げた風景。
 人種差別を鋭く描いているらしい……

 と思ったら、すぐに子どもギャング同士のプチ抗争の話になり、例のころりと改心した悪者二人組も出てきて大活躍して、けっきょく愉快な話。
 そうでなくちゃね、と私、ほっとする。

 末っ子ちゃんは宙に吊られたロープでスイングしながら、敵をあざやかに蹴り倒している。
 この映画、本当に撮るなら、ものすごい天才子役が必要だな。

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