第131話

文字数 191文字

 何かに遅れて、いそいで行く。
 ほかにもぱらぱらと人が走っている。

 教室に着いて、木の引き戸をそっと右へ引くと、授業はもう始まっていて、アイザワ先生(中学のときの数学の先生。優しくて、大好き)が左手をズボンのポケットにそえたいつもの姿勢で黒板に、ルートの長い式をえんえんと割って書いておられる。

 私は最左列の前のほうの席に腰をおろしながら、ひそかに絶望する。
 式が一つもわからない。

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