第162話

文字数 313文字

 母と話す。(現実)

母「お父さんがだんだん終わりになるということは、私もだんだん終わりになるということね」
私「そんなこと言わないで、と言いたいけれど、たしかにお父さんもお母さんも、あと百年は生きないね」
母「でしょう」
私「でも、私も、あと百年は生きないよ」
母「そうね」
私「お父さんが向こう側に行って、お母さんと私がこっち側にいたり、お父さんお母さんが向こう側に行って、私がこっち側にいるあいだは、会えなくてさびしいけれど、そのうち私もそっち側に行くから」
母「そうね」
私「しばらく会えないだけだから」
母「そうね」
私「でも、それまで、人間には体があるから、痛かったり苦しかったりするのがつらいね」
母「ほんとにそうね」

 お湯の沸く音。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み