第149話
文字数 582文字
朝、うとうとしていると、玄関で母が
「アヤちゃん、いやだ、まだ寝ているの?」
と言っている明るい声がして、雨のなか祖母と到着して傘などたたんでいるようす。
夢だよね?
と思いながら、あわてて起きていくと、
母も祖母も自分の服などそこらに置いていて、私が散らかしほうだいなのを見られてはずかしい。でも二人とも何も言わずにいそいそとしたくしている。
そうか、今日は入院している父のお見舞いに行くのだった。母と待ち合わせるのに私の家に寄ってもらう約束だった、
と納得しつつ、
それなら父の病院はどこだったかなと頭の中で電車の路線図を広げるけれども、思い出せない。
広めの和室にチョコレートの詰め合わせの箱が重ねてあって、どれも食べかけ。
はずかしくなって、いっそみんな食べてしまおうと一つ二つほおばる。もちろん食べきれない。中に栗か何かのガナッシュが入っていておいしい。
いつのまにか弟もいて、いっしょにほおばっている。弟は小学生らしい。
朝ごはんにチョコレート? と母の声。笑っている。
見ると、父もそこにいて、若く健やか。
お見舞いに行かなくてよくなった。
母が仏壇にお線香をあげている。
私の住まいに和室も仏壇もなく、祖母は亡くなって十年以上で、弟もいまは妻子持ちなのに、
起きてしばらくそのことに気づかなかった。
たしかに今日、父のお見舞いに行く。雨も降っている。
「アヤちゃん、いやだ、まだ寝ているの?」
と言っている明るい声がして、雨のなか祖母と到着して傘などたたんでいるようす。
夢だよね?
と思いながら、あわてて起きていくと、
母も祖母も自分の服などそこらに置いていて、私が散らかしほうだいなのを見られてはずかしい。でも二人とも何も言わずにいそいそとしたくしている。
そうか、今日は入院している父のお見舞いに行くのだった。母と待ち合わせるのに私の家に寄ってもらう約束だった、
と納得しつつ、
それなら父の病院はどこだったかなと頭の中で電車の路線図を広げるけれども、思い出せない。
広めの和室にチョコレートの詰め合わせの箱が重ねてあって、どれも食べかけ。
はずかしくなって、いっそみんな食べてしまおうと一つ二つほおばる。もちろん食べきれない。中に栗か何かのガナッシュが入っていておいしい。
いつのまにか弟もいて、いっしょにほおばっている。弟は小学生らしい。
朝ごはんにチョコレート? と母の声。笑っている。
見ると、父もそこにいて、若く健やか。
お見舞いに行かなくてよくなった。
母が仏壇にお線香をあげている。
私の住まいに和室も仏壇もなく、祖母は亡くなって十年以上で、弟もいまは妻子持ちなのに、
起きてしばらくそのことに気づかなかった。
たしかに今日、父のお見舞いに行く。雨も降っている。