第107話
文字数 1,101文字
さらに一週間ぶりに夢。夢は見ているのだろうけれど、書かないうちに消えている。
暑くて夜が眠られず、朝五時から起きだして、ひと仕事してからうとうと。
恩師らしき人の、といっても誰だかわからない、そして何だかわからないお祝いごとで集まっている。
お宅はずいぶんハイカラで洋式で、緑がかった黄色のビロード張りの椅子などそろった客間。みな口々におめでとうなどと言う。
恩師らしき人の顔は長くて、頬骨も額も高く、ようするに立体的な顔だ。ひげはあるのかないのかわからない。
そんな人が立って、ありがとう、と言っている。
フブキくんと婚約者のカレンさんがいる。
もしかしたらここはカレンさんのお宅で、その立体的な立派なお顔の老紳士は、カレンさんのお父さまなのかもしれない。
私は彼女に近づいていって、こっそり秘密をうちあけるのだけれど、
新しいせっけんをもって泊まりにきた、
というようなたあいのないこと。それをさも大事そうに言うと、カレンさんも熱心に聞いてくれる。高校生同士のよう。
集まった面々で、遊びで『くまのプーさん』を朗読することになる。大人ばかりがみな嬉しそうでそわそわし、役をうばいあう。
ひとり、いい歳をした男性が、ほとんど真剣に、フクロウの〈フクロ〉がやりたいと主張する。ばかばかしい。
やりたい役がかちあったら話し合いかじゃんけんで決めましょう、と私が言う。まるで小学校だ。
そうこうするうちに、みんなが役を取りきってしまい、私のやる役がもうない。
語り(地の文)を読みますと言うと、それがいいと言われ、そうなる。
さて、にわか『プーさん』はじまりはじまり。
私が語りを読もうとすると、すでに誰かが読みはじめている。例のフクロをやりたがった小柄なおじさんが読んでいるのだ。
頭にきて、あなたはフクロなんだから黙ってなさい、なんならフクロは私がやりますがいいか、と言うと小柄氏、へどもどして黙る。
なのに会話の部分が始まると、さっそく小柄氏と彼の息子とおぼしき少年が読んでいる。クリストファー・ロビンとお父さんの会話。それならフクロじゃないじゃないか。しかもそれが英語で、おまけにたどたどしく下手なのだ、少年ではなく父親のほうが。何を言っているかさっぱりわからない。それでも父親はとくいになって読みつづける。
あまりにばかばかしくて、手を挙げて「待った」を入れたいのだけど、あまり何度も私ばかり発言するとはずかしいから、こまる。
そのばかな父親の下手な英語のおかげで、すっかり座が白けて、何をやっていたんだかわからなくなっているところへ、玄関のベルが鳴り、
これは現実の玄関のベルで、起こされる。
暑くて夜が眠られず、朝五時から起きだして、ひと仕事してからうとうと。
恩師らしき人の、といっても誰だかわからない、そして何だかわからないお祝いごとで集まっている。
お宅はずいぶんハイカラで洋式で、緑がかった黄色のビロード張りの椅子などそろった客間。みな口々におめでとうなどと言う。
恩師らしき人の顔は長くて、頬骨も額も高く、ようするに立体的な顔だ。ひげはあるのかないのかわからない。
そんな人が立って、ありがとう、と言っている。
フブキくんと婚約者のカレンさんがいる。
もしかしたらここはカレンさんのお宅で、その立体的な立派なお顔の老紳士は、カレンさんのお父さまなのかもしれない。
私は彼女に近づいていって、こっそり秘密をうちあけるのだけれど、
新しいせっけんをもって泊まりにきた、
というようなたあいのないこと。それをさも大事そうに言うと、カレンさんも熱心に聞いてくれる。高校生同士のよう。
集まった面々で、遊びで『くまのプーさん』を朗読することになる。大人ばかりがみな嬉しそうでそわそわし、役をうばいあう。
ひとり、いい歳をした男性が、ほとんど真剣に、フクロウの〈フクロ〉がやりたいと主張する。ばかばかしい。
やりたい役がかちあったら話し合いかじゃんけんで決めましょう、と私が言う。まるで小学校だ。
そうこうするうちに、みんなが役を取りきってしまい、私のやる役がもうない。
語り(地の文)を読みますと言うと、それがいいと言われ、そうなる。
さて、にわか『プーさん』はじまりはじまり。
私が語りを読もうとすると、すでに誰かが読みはじめている。例のフクロをやりたがった小柄なおじさんが読んでいるのだ。
頭にきて、あなたはフクロなんだから黙ってなさい、なんならフクロは私がやりますがいいか、と言うと小柄氏、へどもどして黙る。
なのに会話の部分が始まると、さっそく小柄氏と彼の息子とおぼしき少年が読んでいる。クリストファー・ロビンとお父さんの会話。それならフクロじゃないじゃないか。しかもそれが英語で、おまけにたどたどしく下手なのだ、少年ではなく父親のほうが。何を言っているかさっぱりわからない。それでも父親はとくいになって読みつづける。
あまりにばかばかしくて、手を挙げて「待った」を入れたいのだけど、あまり何度も私ばかり発言するとはずかしいから、こまる。
そのばかな父親の下手な英語のおかげで、すっかり座が白けて、何をやっていたんだかわからなくなっているところへ、玄関のベルが鳴り、
これは現実の玄関のベルで、起こされる。