第27話

文字数 600文字

 雨上がりだったらしい夢、のつづき。
 また荷造りして、飛行機に乗って帰ろうとしていた。

 あちこちの部屋の押し入れの中の低い引き出しから、物を出しては詰める。オルガンの楽譜を六、七冊、持って行こうとしている。こっちにいるあいだ弾かなかったなあ。帰ったら弾くかしら、と思っている。(こっちってどこ。)

 服に航空券にパスポート、航空券が見当たらなくてあせる。たしか十時と思うけど、少しなら過ぎても大丈夫、と、たかをくくっている。あぶないあぶない。
 弟がずっとチェロを弾いているから、どうして手伝ってくれないのとやつあたりすると、姉さんだっておれが荷造りするとき手伝わないだろう、と反論される。それはそうだ。

 本当にあせりながらスーツケースを閉めて時計を見ると、十一時。一時間遅れはさすがに無理でしょと絶望しながら空港へ向かおうとすると、
 なぜか瞬時に空港に着いていて、

 平たい円盤型のドームのまわりにぐるっと水路があり、壁にツタがはって、空港というより動物園の畜舎のよう。
 だけど、人が集まってわいわい騒いでいて、聞くと、私の乗るはずだった航空機がストライキでキャンセルになり、振り替え便の予定は立っていないのだという。

 みんな怒って抗議しているんだけど、私は、ほっとして、ちょうどよかった、どれでもいいからてきとうな便に乗せてもらおう、なんて思っているから、いい気なもの。

 水路にかけられた短い橋を渡る。

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