第141話

文字数 474文字

 その続き。
 部屋に戻るとみな引き払ったあとだ。長距離バスに乗るらしい。
 私もいそいで荷造りする。

 毛布をたたんでリュックに入れたいのだけど、入らなくて苦戦。やっと入って見回すと、厚手の木のテーブルの上に、すずか銅のコップ。ビールがつがれ、かんたんなおつまみ(ポテトサラダなど)も、細長い木のお皿に盛りつけてある。

 マイクさんのためのものだと思うのに、知らないひげもじゃらの外国人が来て、目をぎらぎらさせながら立ったまま飲み食いしてしまう。

 こまっていると、部屋の戸口から今度は、登山の格好をした柴田元幸先生が入ってきて、ひげ男を見て抗議の声をあげる。
 私は、柴田先生に食べてもらったほうがよかったんだと思いついて、
 先生あの人を叱ってください、
 と叫ぶ。
 柴田先生はますます大きな声でひげ男を非難しながら近づいていき、小柄なお姿が一歩近づくごとにずん、ずん、と大きくなるようだ。

 きれいに盛りつけられたおつまみは美味しそうで、本当は私が食べたかった。


※文中の柴田元幸先生はもちろん私の夢の中の柴田元幸先生で、現実の柴田元幸先生とは関係ありません。

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