第97話
文字数 536文字
今朝の夢。弟が二人いる。いや、三人いる。いや、やはり二人か。
どの弟も弟ではない。知らない人物なのに、弟だと思っている。大切に思っている。
弟のほうも私をよく知っていて、
姉さんは昔から○○(もう一人の弟らしいけれど、なんと言ったか思い出せない)が好きだったよね、
などと笑いながら言う。
そう言われると、そんな気がしてくる。そうだった、と思う。
その、笑っているほうでない、大切なほうの弟が出かけるというので、両親ともいそいそしている。
母は弟のブレザーを整えてやったりしている。弟の初出勤だと言う。初出勤に紺のチェックのブレザーは、いま考えると変で(入社式ならスーツだろう)、子どもっぽいのだけど、夢の中ではなんの違和感もなく、清潔なブレザー姿の弟が実家の階段を降りていく。
笑っていた弟も、両親について降りていく。
私一人が、いまは両親の寝室になっている日当たりのよい子ども部屋に取り残され、大切な弟の初出勤だというのに寝坊をして、部屋着のままなのをはずかしく思っている。
厚手のクリーム色のカーテンが陽に透ける。少し陽に焼けているかもしれない。
だから、そんな弟はいない。二人とも知らない若者だ。
三人めの弟はけっきょく出てこなかった。
どこかにいた気がしたのに。
どの弟も弟ではない。知らない人物なのに、弟だと思っている。大切に思っている。
弟のほうも私をよく知っていて、
姉さんは昔から○○(もう一人の弟らしいけれど、なんと言ったか思い出せない)が好きだったよね、
などと笑いながら言う。
そう言われると、そんな気がしてくる。そうだった、と思う。
その、笑っているほうでない、大切なほうの弟が出かけるというので、両親ともいそいそしている。
母は弟のブレザーを整えてやったりしている。弟の初出勤だと言う。初出勤に紺のチェックのブレザーは、いま考えると変で(入社式ならスーツだろう)、子どもっぽいのだけど、夢の中ではなんの違和感もなく、清潔なブレザー姿の弟が実家の階段を降りていく。
笑っていた弟も、両親について降りていく。
私一人が、いまは両親の寝室になっている日当たりのよい子ども部屋に取り残され、大切な弟の初出勤だというのに寝坊をして、部屋着のままなのをはずかしく思っている。
厚手のクリーム色のカーテンが陽に透ける。少し陽に焼けているかもしれない。
だから、そんな弟はいない。二人とも知らない若者だ。
三人めの弟はけっきょく出てこなかった。
どこかにいた気がしたのに。