第100話
文字数 1,178文字
今日で今年の夢が百になった。
去年は暮れに百だったので、倍のペースなのだけれど、私、大丈夫だろうか。
(注:この巻二は2019年の夢日記です。)
みょうに細長いマンションらしき物件に、両親が住んでいて、真澄さんと訪ねる。もう何軒か訪問してきて、最後に立ち寄っているらしい。
細長いリビングの細長いテーブルに、母がお茶のしたくを並べながら、嬉しそうに何か話す。灯りがここちよく暗くて調度品も品よく、いつか一度招かれたモリトさんのお宅に似ている。
実家ではない。
母の話に、何か柚子を使ったお菓子が出てきて、そういえば先の訪問先でいろいろおみやげをもらった中にちょうど柚子のロールケーキがあったから母たちにあげようと、真澄さんに目顔で知らせる。
そのロールケーキはもらったおみやげの中でいちばん美味しそうだったので、後で食べるのを楽しみにしていたのだけれど、そんなことはどうでもいい。だいたい、父母の家に来るのに手ぶらで来ている私が悪い。
ここには私たち車で来ているらしく、どうやって駐車場の車のトランクからそのお菓子を、母に気づかれずに持ってきたものか、思案する。
思案しながら、リビングダイニングの壁際の棚に近づいて見てみると、コップなどの内側が金箔で、そこからの光が集まって部屋全体を照らしているらしい。ますます父母の家ではない。
なぜ棚まで歩いてきたか、忘れて、小さく鎮座まします黒電話の受話器を取り上げると、混線していて、
どこそこの亭主が悪いやつだから殺してしまおう
などと言っている。驚いて受話器を置く。置く直前に、
棚の中の手紙に暗証番号が書いてある
と聞こえる。
棚を開けると、はたして手紙の束があり、一つ二つ開くと四桁の数字があり、これをほかの何かと一致させれば、何かが手に入るということだ。
だが、何を、どうするというのか。
真澄さんが私の服を何着か持ってきてくれる。どれも濡れているのでハンガーにかけてつるしてもらう。
いつのまにか、実家は実家になっていて、ただ、今度は住人が知らない白人の一家になっている。
二階の、もと私と弟の子ども部屋だった部屋のベランダから見下ろすと、庭の塀がなくて広場になっていて、当家の子どもたちも加わってミュージカルの練習をしている。サウンドオブミュージックだろうか。
ながめているあいだに日が傾いて、服も乾いたので、なごりおしいけれども着はじめる。
白人の子どもたちが階段を上がってきて、上気した頬で、どうだった? と訊くから、とってもよかったと言ってあげると喜んでいる。
その間に服を着る。柔らかい、青い木綿のアンサンブル(そんなの持ってない)。麻のベージュのワンピースを一瞬探して、ああ、あれは持ってこなかったと思い出す(それは持ってる)。
他の服もとりあえず乾いたので、車のトランクに詰めて、出発する。
去年は暮れに百だったので、倍のペースなのだけれど、私、大丈夫だろうか。
(注:この巻二は2019年の夢日記です。)
みょうに細長いマンションらしき物件に、両親が住んでいて、真澄さんと訪ねる。もう何軒か訪問してきて、最後に立ち寄っているらしい。
細長いリビングの細長いテーブルに、母がお茶のしたくを並べながら、嬉しそうに何か話す。灯りがここちよく暗くて調度品も品よく、いつか一度招かれたモリトさんのお宅に似ている。
実家ではない。
母の話に、何か柚子を使ったお菓子が出てきて、そういえば先の訪問先でいろいろおみやげをもらった中にちょうど柚子のロールケーキがあったから母たちにあげようと、真澄さんに目顔で知らせる。
そのロールケーキはもらったおみやげの中でいちばん美味しそうだったので、後で食べるのを楽しみにしていたのだけれど、そんなことはどうでもいい。だいたい、父母の家に来るのに手ぶらで来ている私が悪い。
ここには私たち車で来ているらしく、どうやって駐車場の車のトランクからそのお菓子を、母に気づかれずに持ってきたものか、思案する。
思案しながら、リビングダイニングの壁際の棚に近づいて見てみると、コップなどの内側が金箔で、そこからの光が集まって部屋全体を照らしているらしい。ますます父母の家ではない。
なぜ棚まで歩いてきたか、忘れて、小さく鎮座まします黒電話の受話器を取り上げると、混線していて、
どこそこの亭主が悪いやつだから殺してしまおう
などと言っている。驚いて受話器を置く。置く直前に、
棚の中の手紙に暗証番号が書いてある
と聞こえる。
棚を開けると、はたして手紙の束があり、一つ二つ開くと四桁の数字があり、これをほかの何かと一致させれば、何かが手に入るということだ。
だが、何を、どうするというのか。
真澄さんが私の服を何着か持ってきてくれる。どれも濡れているのでハンガーにかけてつるしてもらう。
いつのまにか、実家は実家になっていて、ただ、今度は住人が知らない白人の一家になっている。
二階の、もと私と弟の子ども部屋だった部屋のベランダから見下ろすと、庭の塀がなくて広場になっていて、当家の子どもたちも加わってミュージカルの練習をしている。サウンドオブミュージックだろうか。
ながめているあいだに日が傾いて、服も乾いたので、なごりおしいけれども着はじめる。
白人の子どもたちが階段を上がってきて、上気した頬で、どうだった? と訊くから、とってもよかったと言ってあげると喜んでいる。
その間に服を着る。柔らかい、青い木綿のアンサンブル(そんなの持ってない)。麻のベージュのワンピースを一瞬探して、ああ、あれは持ってこなかったと思い出す(それは持ってる)。
他の服もとりあえず乾いたので、車のトランクに詰めて、出発する。