劉琨4  人士を招けど

文字数 476文字

劉琨(りゅうこん)は人士を集める手段に長けていた。
のだが、彼らを
慰撫する能力はからきしだった。

一日に数千人というレベルで
ひとが集まっても、
同じくらいの数の人間が流出する。

このような有様であったから、
結局功績らしい功績も上げられずに
敗亡してしまったのである。



劉琨善能招延,而拙於撫御。一日雖有數千人歸投,其逃散而去亦復如此。所以卒無所建。

劉琨は善く招延せる能うも、撫御にては拙し。一日に數千人の歸投を有せると雖ど、其の逃散し去れるも亦た復た此くの如し。卒に建つる所無かる所以なり。

(尤悔4)



この条については注でのツッコミが入っている。「いやいやそんなレベルでひとを失いまくってたら十年も戦ってなどいられんでしょうよ」とのことなのだが、石勒を前にして手を取り合うべき王浚(おうしゅん)と仲違いやらかしちゃう人だからなあ。つうても王浚は王浚で諸鮮卑(せんぴ)の力さえあれば独立できるって考えでいただろうから、そんな簡単でもないか。いずれにせよさんざ「すげえ人」って書いときながら結局最後でこうやって突き落とす世説新語さんの「将軍」に対する冷淡さは、構造的な意味でギャグとすら言ってもよい気がする。
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