阮裕1  貸せなかった車

文字数 491文字

簡文文壇 阮裕(げんゆう) 全2編
 既出:謝安10、謝安18、謝安53
    庾亮18、殷浩13、王羲之3
    王羲之5、何充5、袁喬1


阮裕が会稽(かいけい)郡の(しょう)県にいた時のことだ。

彼は立派な車を保有していたが、
望む者にはいつでも貸してやった。

そんな中、ある人が母の葬儀に
その車を借りたい、と思った。

だが、葬儀である。
さすがに気が咎めたのか、
言い出せなかった。

その話を後に聞いた阮裕、
盛大に嘆いている。

「車を持っておりながら、それを
 求める者のために用いられぬ。
 これではわしは、なんのために
 車を所有しておるのだ?」

そう言って、車を燃やしてしまった!
ぇぇ……。



阮光祿在剡,曾有好車,借者無不皆給。有人葬母,意欲借而不敢言。阮後聞之,嘆曰:「吾有車而使人不敢借,何以車為?」遂焚之。

阮光祿は剡に在りて、曾て好き車を有し、借らんとせる者に皆な給せざる無し。有る人の母を葬ぜるに、借りんと欲せるを意えど敢えて言わず。阮は後に之を聞き、嘆じて曰く:「吾れ車を有したるに人をして敢えて借らしまざるに、何ぞを以ての車と為さんか?」と。遂には之を焚く。

(德行32)



阮裕
ド級の偏屈ものだが、気前は良かったという事か。
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