王恭7  王恭と王忱3

文字数 408文字

王恭(おうきょう)王忱(おうしん)はマブだったが、
謝玄(しゃげん)の元幕僚、袁悦之(えんえつし)の策謀に嵌められ、
お互い疑心暗鬼の仲となった。

が、宴会などでその姿を
目の当たりとすれば、
どうしてもその姿を追ってしまう。

鬱々とした王恭、五石散(ごせきさん)を服用した後、
気晴らしに京口(けいこう)にある
射的場にまでふらつく。

するとそこで、青桐の新芽に、
朝露がきらめいているのを見かける。

王恭、思わず呟くのだった。

「王忱のやつのような、
 実に麗しく、清らかな姿じゃないか」



王恭始與王建武甚有情,後遇袁悅之間,遂致疑隙。然每至興會,故有相思。時恭嘗行散至京口謝堂,于時清露晨流,新桐初引,恭目之曰:「王大故自濯濯。」

王恭は始め王建武と甚だ情を有せるも、後に袁悅之が間に遇い、遂に疑を致し隙す。然れど興會に至れる每、故より相い思いたる有り。時に恭の嘗て行散し京口が謝堂に至り、時にして清露の晨に流るるに、新桐を初に引かば、恭は之を目して曰く:「王大は故より自ら濯濯たり」と。

(賞譽153)



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