王衍9  語り、語られる

文字数 663文字

閭丘沖(ろきゅうちゅう)と言う人がいた。
かれは非常に才能のあるひとだったが、
同時期の名士、滿奮(まんふん)郗隆(ちりゅう)より
立身が遅れていた。

なので王衍(おうえん)が語っている。

「閭丘沖は、滿奮、郗隆より優れている。
 無論三人とも優れてはいる、
 しかし、彼が一つ抜けているのだ」


いろいろな人を評価している王衍だから、
いろいろな人から評価もされている。
これまででだいぶ語られてはいるので、
残りのコメントも紹介しよう。


例えば、その外見。
非常に整い、麗らかで、
道という玄妙なる境地を語るのが
非常に似合っていたそうだ。

そして、何晏(かあん)もかくやという色白。
柄が白い宝石でできた扇子を手にすれば、
たちまち手と柄が同化するほどだった。


また、王衍のこの佇まいについては、
王敦(おうとん)が語っている。

「あれが大勢の中にいると、
 まるで砂利の中に宝玉が
 紛れ込むかのようだ」



王夷甫云:「閭丘沖,優於滿奮、郝隆。此三人並是高才,沖最先達。」
王夷甫は云えらく:「閭丘沖は滿奮、郝隆より優る。此の三人は並べて是れ才高かれど、沖が最も先達す」と。
(品藻9)

王夷甫容貌整麗,妙於談玄,下捉白玉柄麈尾,與手都無分別。
王夷甫が容貌は整麗にして、玄を談ずるに妙なれば、下に白玉の柄の麈尾を捉うれば、手と都べて分別無し。
(容止8)

王大將軍稱太尉:「處眾人中,似珠玉在瓦石閒。」
王大將軍は太尉を稱うるらく:「眾人の處る中、珠玉の瓦石が閒に在るに似たり」と。
(容止17)



品藻9には「郝隆(かくりゅう)だと桓温(かんおん)さまの幕僚になっちまいますやん、世代が違い過ぎ! これたぶん郗鑒(ちかん)のおじの郗隆(ちりゅう)ですよ!」とツッコミが入っている。なのでそれに従い改めました。
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