石崇5  珊瑚樹

文字数 997文字

石崇(せきすう)王愷(おうがい)の富豪比べエピソードである。
君子じゃねえなこいつら。

二人ともとにかく衣服に
飾りをジャラジャラつけてる。

ところで武帝(ぶてい)さま、
王愷の甥にあたるわけだが、
結構王愷に援助してた。

例えば、サンゴを木になぞらえた物とか。
高さは五十センチくらい。
枝ぶりは良く茂り、
これほどの物はそうそう見ない。

「俺の珊瑚樹を見ろ石崇!」

ドヤる王愷。
いやそれ、武帝からの下賜の品ですよね?

ところが石崇、ちらっと見たら、
手に持った鉄の棒で、
いきなりその珊瑚樹を打ち砕く!

「うおぉおおおい!?
 なにしてくれとん、
 いくら俺の珊瑚樹に嫉妬したからって!」

いやだから武帝の。
ところが石崇と来たら、しれっという。

「この程度でドヤるとか(笑)
 あーわかったわかった、
 壊しちゃったからねー。
 じゃ、可哀想な愷きゅんに
 珊瑚樹お返ちちまちょうねー」

そう言って侍従に、
石崇の保有する珊瑚樹を持ってこさせる。

どれも70センチから
1メートルはあろうって代物だ。
しかも枝ぶりは見たことないくらいだし、
まばゆいばかりの光彩を放つものが
6、7本もある。
王愷が持ってきたような珊瑚樹なら、
それこそうなるようにあった。

王愷、開いた口がふさがらなくなった。



石崇與王愷爭豪、並窮綺麗、以飾輿服。武帝、愷之甥也、每助愷。嘗以一珊瑚樹、高二尺許賜愷。枝柯扶疎、世罕其比。愷以示崇。崇視訖、以鐵如意擊之、應手而碎。愷既惋惜、又以為疾己之寶、聲色甚厲。崇曰:「不足恨、今還卿。」乃命左右悉取珊瑚樹、有三尺四尺、條榦絕世、光彩溢目者六七枚、如愷許比甚眾。愷惘然自失。

石崇と王愷は豪を爭い、並べて綺麗を窮め、飾を以て服とす。武帝は愷が甥なれば、每ごとに愷を助く。嘗て一なる珊瑚を以て樹とせるの、高さ二尺許りなるを愷に賜う。枝柯は疎を扶し、世罕は其に比ぶ。愷は以て崇に示す。崇は視訖えるに、鐵の如意を以て之を擊ち、應手は碎ける。愷は既にして惋惜し、又た以為えらく「己が寶を疾みたらんか!」と。聲色は甚だ厲たり。崇は曰く:「恨むに足らず、今卿に還ず」と。乃ち左右に命じ珊瑚樹を取らば、悉きは三尺四尺有り、條榦は絕世にして、光彩の溢目たること六七枚、愷の許に比す如きは甚だ眾し。愷は惘然自失す。

(汰侈8)



これ同時に武帝さまの顔にまで泥塗っちゃってんのが笑う。陛下ですら手に入れられないようなものを一臣下が抱え込んでるとか、見方によっちゃ大逆じゃないっすかこんなんwwww
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