王敦3  周顗と王敦1

文字数 367文字

西晋(せいしん)時代、王敦(おうとん)周顗(しゅうぎ)さんが
出会ったことがあった。

王敦、粗暴で知られた男であったが、
周顗さんだけはどうにも苦手である。
出会うと顔がかっかぽっぽしてしまい、
まともに顔を向かい合わせられない。

だから自分の顔を扇子で隠し、
まともに顔が合わないようにしていた。

やがて江南(こうなん)に渡ってからは、
そんなこともしなくなった。

王敦は嘆息する。

「わしが進歩したのか、
 それとも周顗殿が衰えられたのかな」



王大將軍在西朝時,見周侯輒扇障面不得住。後度江左,不能復爾。王歎曰:「不知我進,伯仁退?」

王大將軍の西朝に在りし時、周侯に見ゆるに、輒ち扇にて面を障し、住みたるを得ず。後に江左に度らば、復た爾る能わず。王は歎じて曰く:「知らず、我の進みたるかを、伯仁の退りたるかを」と。

(品藻12)



周顗さんは重んじられるか殺されるかのどちらかしかなかった、という感じですね。
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